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百年以上前から変わらない
第二章

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「お前も高校で習っただろ」
「農業高校でね」
 吉乃は地元の農業高校出身である。
「一応ね」
「農業高校だから実技優先だけれどな」
「習ったわ、ロシアっていったら」
「あそこに占領されたら酷いぞ」
 父は眉を顰めさせて言った。
「もうな」
「奴隷みたいに扱われるわね」
「ソ連の頃だが何でも取られてな」
 ホロドロームのことをこう言った。
「そしてな」
「飢え死にする人一杯いて」
「戦争になってもな」
 その時もというのだ。
「無理に駆り出されてな」
「戦わせられて」
「とんでもないことになるんだよ」
「今もよね」
「攻めてる時点でわかるだろ」
 どうなるかはというのだ。
「もうな」
「じゃあウクライナにそんなこと言う人は」
「ロシアがウクライナに勝ったらどうなるんだ」
 その時はというのだ。
「それで終わるか」
「次は他のところ攻めるわね」
「そしてな」
 父はさらに話した。
「日本はすぐそこだぞ」
「ロシアから見て」
「海を挟んでな」
「お隣だから」
「すぐそこだぞ」
「あのね、あっちの街あるわよね」 
 母も言ってきた。
「ロシアの」
「ウラジオストクよね」
「あそこ軍港なのよ」
「軍隊の港ね」
「ロシアでも特に大きなね」
 そうしたというのだ。
「とんでもない街なのよ」
「軍事基地ね」
「街自体がね」
 そう言っていいというのだ。
「だからね」
「何かあったら」
「あそこからよ」
「攻めて来るのね」
「軍艦も飛行機もあるから」
 ウラジオストクにはというのだ。
「何かあったら」
「攻めて来るのね」
「あそこからね」
「そうなのね」
「だからよ」
 それ故にというのだ。
「お父さんの言う通りね」
「若しロシアがウクライナに勝ったら」
「こっちに来るかも知れないのよ」
「明日は我が身ね」
「そうよ、それでロシアが勝つって言って」
 そうしてというのだ。
「ウクライナ助けるなとか言うのでしょ」
「そんな人がいるのよ」
 吉乃はその通りだと答えた。
「これが」
「そうね、そんなこと言ったら」
 それこそというのだ。
「ロシアは本当にウクライナに勝って」
「次は日本ね」
「そうなるわよ」
「そんなこともわかっていないなんてな」
 父は実に忌々し気に語った。
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