白き極光編
第1章
フィスト・オブ・ザ・コルツマウンテン
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「双子の弟か…」
山道を歩きながらロックがエドガーへ水を向ける。
「もう10年になる。父が亡くなり、臣下達が後継者の話題ばかりになってるのを目の当たりにしたマッシュは、国に縛られる事を嫌って自由を求めた」
干し肉を口に含んだエドガーは話を続ける。
「まぁ、それでちょっとした運試しで勝負してな。見事に運命の女神から微笑みを勝ち取ったあいつは国を去った。あいつなりの正義を貫くには、国という枠は狭過ぎたのさ」
話題の内容は、サウスフィガロの街で聞いた、エドガーにそっくりな格闘家の素性であった。
エドガーはそれが10年前にフィガロを出た弟のマッシュの事であるとすぐに分かった。
「最初は格闘家と聞いて驚いたが、考えてみればあいつは昔から身体を動かす事が好きだったなぁ。ふふっ、あのマッシュが格闘家に弟子入りか」
王でも戦士でもなく、兄としての顔を綻ばせる。
「どうでも良いが、この山道はどこまで続くのだ」
コールドホワイトの額に汗が滲んで来た。
スノーモービルを押しながら上り坂を長時間登るのは、さすがのニンジャ腕力と脚力でも厳しいのだ。
「ニンジャの弱音は初めて聞いたな」
「ニンジャも元を辿ればただの人間と言っただろう…ヌッ…? イヤーッ!」
突然、コールドホワイトがスノーモービルにストッパーを掛けてから大きく跳躍! 右手の岸壁に着地した。
「どうしたー?」
「…いや、今ここに人影が見えたのだが…気のせいか?」
ニンジャ視力で周囲を見回すが、既に気配は消えている。
「(まさかこんな昼間からオバケという事もあるまいが…)」
コールドホワイトが戻り、一行は再び歩みを進めた。
すると山腹5合目辺り、ちょうどリターナー本部方面への下り坂に向かう分岐点に差し掛かった辺りで、怪しげな集団に止められてしまった。
全員が鍛え上げられた上半身を威圧的に晒しながら、顔には前面を覆う赤い仮面を着けて表情を隠している。
「ひっひひ、生憎とここはザグレム盗賊団の縄張で通行止めよ」
「おぉっと、引き返す前に身ぐるみ置いてってもらおうか。そのマシンもだ」
よもや追い剥ぎが出るとは。
リターナー本部は目と鼻の先だというのに!
「…殺して良いか?」
モービルに乗れない山道続きでイライラしていたコールドホワイトが、行く手を遮るサンシタ共に静かな殺気を立ち上らせる。
「待て、あんなのでもフィガロの民だ。王としては徒に命が奪われるのは忍びない」
エドガーはコールドホワイトを手で制し。
「再起不能程度で頼む」
「良かろう」
白い風が坂道を駆け上り、風圧を感じた瞬間には追い剥ぎの1人の仮面が割れ、コールドホワイト
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