脱出
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・・・・・バダンを裏切って・・・・・・」
煙草を噛んだ。ブチッ、と音がして煙草が噛み千切られる。
床に落ちた煙草を足で踏み付けて消す。黒い皮の靴だ。
「どうした、許せぬか」
暗闇大使はいわくありげに男に言った。横目で彼を見つつ口の端で笑う。
「・・・・・・・・・」
男は答えない。暗闇大使の方も振り向かない。ただ立っているだけである。
「行くがいい。そしてその憤りを晴らすがいい」
男は無言で部屋を立ち去った。暗闇大使はそれを口の端だけで笑いながら送った。
ゼクロスと博士は富士の山麓を進んでいた。周りは樹海である。
富士の樹海は一度入ると出られない事で知られている。自殺の名所でもありその土の中には多くの骨が埋もれていると言われている。
「博士、行き先はこれでいいか」
「うむ、そのまま進んでくれ」
その中を二人は進んでいる。ヘルダイバーは樹海をものともせず進んでいる。
「私はかって自衛隊の隊員と共にこの樹海へ来た事がある。その時に道は調べておいた。どんな場所でも必ず道はある。だから任せてくれ。絶対に抜けられる」
「解かった」
ゼクロスは博士の言葉に従った。
その上で何かが煌いた。そして数本のナイフが飛んで来た。
「ムッ!」
ゼクロスは肘から十字手裏剣を取り出した。そしてナイフが飛んで来た方へ向けて投げる。
重い物が落ちる音がした。戦闘員達だった。
「追っ手か・・・・・・」
博士は喉に手裏剣を受け倒れる戦闘員達を見て言った。
「おそらくこれからも次々と来るだろう。用心してくれ」
「解かった」
ゼクロスは振り向かずに言った。そしてただひたすら進んで行く。
多くの戦闘員達が襲い掛かって来た。だがゼクロスはそれを何事も無い様に次々と倒していく。
(何という強さだ)
博士はそれを見ながら思った。
(この力、これさえあればバダンの野望も・・・・・・)
博士は微笑んだ。ゼクロスの圧倒的な強さに希望を見出していた。
樹海を出た。周りは岩山となっていた。
「ここを超えれば東京まですぐだ。そして城南大学の海堂という人物のところまで行こう」
「海堂・・・・・・。誰だそれは」
「私の古くからの友人だ。彼ならばきっと我々の力になってくれる」
「そうか」
そのまま進む二人。だがゼクロスが急にそのマシンを止めた。
「?どうした?」
ゼクロスは右上の山の方を見ている。そこに何かを感じているのだろうか。
ゼクロスはマシンを降りた。そしてその場所へ身体を向けて立った。
「ふふふふふ、流石はバダン最強の改造人間。やはり我々の気配を察しましたか」
声がした。するとその山の上から一斉に影が現われた。
「な、御前達は!」
博士も思わず
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