脱出
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の光・・・・・・」
博士はそれを眩しそうに見た。
「久し振りに見た。若しかしたら永劫に見られないのでは、と考えた事もあったが」
心がその光を欲していた。その光を今すぐにでも浴びたかった。
だがそれを急いではならない。今は傍らにいるこの若者と共に出るのだ。悪の巣から。
「博士、ヘルダイバーのエンジンはどうして入れるのだ」
ゼクロスが尋ねる。既にマシンに乗っている。
「そうか、それは・・・・・・」
足のギアを教える。ゼクロスは躊躇無くそのギアを踏んだ。
エンジンがかかった。博士はゼクロスの後ろに乗った。
「さあ行こう、光の世界が君を待っているぞ」
ヘルダイバーは二人を乗せて走りはじめた。爆音が格納庫に響きそれはすぐに光の中へ入っていった。
二人の脱走を知った基地は大騒ぎとなった。戦闘員達が武器を手に走り回り警報音が鳴り響く。
「二人は今何処にいる」
暗闇大使は指令室で戦闘員の報告を受けていた。
「はっ、基地を脱出後富士の山麓にいる様です」
戦闘員の一人が敬礼して報告する。
「そうか、すぐに追っ手を差し向けろ。何としてもあの二人を連れ戻せ」
「伊藤博士もですか?」
戦闘員は尋ねた。必要なのはゼクロスだけだと思っていたからだ。
「そうだ。博士の頭脳は我がバダンにとって必要なのだ。何としても生かして連れて来い」
「はっ、了解致しました」
戦闘員はその命を受領して退室した。
「博士の頭脳が無ければあれを完成させるのは困難だ。あれのな・・・・・・」
暗闇大使は呟いた。ふと横の壁を見る。そこには何やら巨大な兵器の建造計画が描かれていた。
「暗闇大使、及びですか」
戦闘員と入れ替わりに声が聞こえてきた。彼の後ろに影が現われた。
「御前達か」
暗闇大使は振り向かずその声を聞いて答えた。
見れば影は一つだけではない。十人以上の影がある。
だがその影は人のものではなかった。異形の怪物のものであった。
「ゼクロスがこの基地を脱走した。博士も一緒だ」
「何と・・・・・・」
影の一つが呻く様に言った。
「追撃しろ。そして連れ戻すのだ。博士共々生きた状態でな」
「はい」
影達は答えた。
「行くがいい。朗報を期待しているぞ」
「解かりました。是非楽しみにしておいて下さい」
影達は一斉に消えた。その後には気配一つ残っていない。
いや、一つだけ残っていた。違った。残っていたのではない。彼等が部屋を去ると同時に現われたのだ。
「御前は行かぬのか」
見れば男の姿である。口に何か咥えている。煙草であろうか。煙を出している。
「奴が・・・逃げたか」
男はこちらを振り向く事なく言った。低くドスの効いた声である。
「組織を・
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