脱出
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のか・・・・・・)
彼は思わず泣いた。顔には出さない。心で泣いた。
だがその涙をすぐに拭いた。何故なら彼より悲しむべき者が今目の前にいるからだ。
「バダンだ。君の目の前で殺された」
「俺の目の前で・・・・・・」
そう言われても何も解からない。彼の記憶はゼクロスとなって目覚めたその時より始まったのだから。
「そして君は記憶と感情を奪われた。バダンの野望の為に君の記憶は不要だからな」
「だから俺には記憶も感情も無いのか」
しかし怒りも悲しみも湧かなかった。ただその話を受け止めるだけである。
「バダンにとって君は世界征服の道具でしかない。君は滑稽なマリオネットなのだ」
「マリオネット・・・・・・・・・」
「君は操られているだけなのだ。今の君は単なる兵器だ。強力なだけのな」
「兵器・・・・・・俺が・・・・・・」
今までゼクロスは最強の改造人間、バダンの誇りと首領や暗闇大使に言われてきた。だからといってどうという事も無かったがそれは彼が道具として、兵器として優秀だからそう呼んだだけなのだ。
「本当なら君はこのまま世界征服の最強の駒として使われ続けただろう。だがもうそれは出来ない」
博士の目が光った。
「あの九人ライダーとの闘いがおそらく君の感情を呼び起こしたのだ」
「ライダー・・・・・・」
彼等の事はよく憶えていた。最後の総攻撃の衝撃は忘れられない。
「あの時のショックが君の封じられていた感情をほんの僅かだが呼び戻したのだ。本来の人間としてのな」
「人間として・・・・・・・・・」
「君は道具なんかじゃない、君は人間なんだ。例えその身体が機械だとしても」
「人間・・・・・・」
彼は教えられた。人間とは忌むべきものだと。だからこそ改造人間こそ素晴らしいのだと。
「真実の一つはそれだ。君はどんな身体を持っていても人間なんだ」
「真実の一つ・・・・・・・・・」
彼の心の中に何かが宿った。だが彼はそれに気付かなかった。
「人間として生きるんだ。そしてその力を正義の為に使うんだ」
「正義・・・・・・」
また新たな言葉が脳裏に刻まれる。
「バダンは悪だ。世界を征服し全てを支配しようとする悪の軍団だ」
「悪の軍団・・・・・・」
その言葉もゼクロスの脳裏に焼き付いた。何故か忘れようとしても忘れられない言葉であった。
「君の姉さんを殺し、君の心を奪い改造人間にしたバダンを倒すんだ。そして世界を救って欲しい」
「それも真実なのか。俺がバダンと戦う事が」
「そうだ、真実だ。君はバダンと戦わなくてはならない。仮面ライダー達と同じ様に」
「仮面ライダーと同じ様に・・・・・・」
その言葉を反芻した。
博士はゼクロスの変身した後の姿に思いを巡らす。そ
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