九十六 逆賊と忠臣
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さまな落胆に、サスケの眉がピクリと反応した。
「おまえにとってイタチの真実など、さほど重要ではない。手当たり次第に憎しみをぶつけたい、ただのガキだ」
「…………」
「何故、こんなゴミの命など残す必要があったというのだ…イタチ」
ダンゾウの煽りにサスケの憎しみが益々膨れ上がる。
刀を持つ手が怒りで震えた。
「こいつは、イタチ…おまえの失敗そのものではないか」
「……もう黙れ…」
「うちは一族の犠牲を無駄にしているのはおまえだ────うちはサスケ」
「黙れと言っている!」
サスケの写輪眼が朱く染まる。廻る瞳が、ダンゾウの腕に連なる瞳と眼が合った。
サスケがダンゾウへ飛び掛かる前に、ダンゾウの腕がサスケの首を掴む。
苦悶の声を漏らしたサスケを守るように、鴉が飛び交った。
「なんだ…幻術か?」
漆黒の羽根を撒き散らす鴉の一羽がダンゾウを睨む。その瞳を何処かで見た気がして、ダンゾウは眉を顰めた。
だがすぐに数多の鴉がダンゾウを取り囲む。
やはり幻術か、と看破したダンゾウの背後で、うちはイタチの姿がゆらりと蠢いた。
「お前がイタチを語るなと言っているんだ」
うちは一族の滅亡。
その諸悪の根源たる忍びの闇を、闇より深い憎しみに沈みながらサスケは睨み据える。
自らが生みだしたうちはイタチが哀しげな顔をしている幻から、眼を背けながら。
「ワシに幻術を掛けたのは褒めてやろう」
しかしながら、諸悪の根源は平然と幻であるイタチ越しに、サスケへ攻撃を仕掛ける。
「イタチの瞳術とは天と地の差だな────せめて兄のところへ送ってやる」
幻術であるイタチに怯まず、サスケへと正確無比な術を仕掛けるその男こそ、忍びの闇に相応しい。
己の勝ちを確信して、ダンゾウは嘲笑った。
「イタチに説教でもされてくるといい」
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