九十六 逆賊と忠臣
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彼女に乗っ取ろうとする。
感知能力に長け、更には山中一族であるフーは敵の身体を乗っ取り、自死する直前に自分の身体へ戻るという行為を今まで幾度となく行ってきた。もはや慣れたものだ。
いくら同じ『根』であっても元後輩であったとしても、サクラとサイを自死に追い込むことなど造作も無い。
サイを乗っ取り、さっさと戦力を削げば、あとはサクラを殺すだけ。
そのほうが楽だったが、逆になったところで同じことだ。
【心転身】の術でサクラを乗っ取ったフーの身体がガクン、と崩れ落ちる。
その身体を手袋越しに受け止めたトルネは、サイからの攻撃を避けながら、サクラの様子を窺った。
すぐに自死して元の身体へ戻るものだと思っていたが、サクラの身体が徐々に変わってゆくのを見て取って、眼を見張った。
「な、に…」
「やっぱり山中一族っていうのはすぐに人の身体に乗っ取ろうとするわよね」
ぼうんっとサイが腰につけていた巻物が人の形へと変わってゆく。同時にサクラだった人影が別の形へ形どってゆく。
幻術か、と気づいた頃にはもう遅く、サクラだった人影は人ではなく、兎の形へなっていた。
忍者がよく使う囮用の兎だ。
兎を幻術でサクラの姿へと見せかけ、フーを騙していたのだ。
「だが感知タイプであるフーが騙されるわけが…」
チャクラを感じ取るフーが、いくら幻術と言えど、サクラのチャクラを感じない相手と間違えるだろうか。
その兎を注視したトルネがハッ、と眼を瞬かせる。
サクラの長い三つ編み。それが兎の身体に絡まっている。
髪はチャクラに溜まりやすい故に、自分の長い髪をサクラは躊躇なく囮にしたのだ。
(女だからとて舐めすぎたか…)
短くなった髪を翻し、サイの隣に並び立つサクラを睨む。兎に【心転身の術】をしてしまった為、フーは暫く動けまい。
更にフーを人質として取られてしまう為、幻術使いであるサクラと【超獣戯画】を操るサイを相手取るしかない。
(ダンゾウ様…助太刀にはまだ行けそうにありません)
だがすぐにサイとサクラを殺して、主のもとへ馳せ参じようと、油目トルネはフーの身体を慎重に下ろすと、口で己の手袋を脱ぐ。
毒々しい肌色が露出し、サイとサクラの警戒心が益々高まった。
「油目一族の怖ろしさ…その身にとくと味わせてやろう」
侍の国との境目。
立派な橋が架けられていた其処は、今や廃墟と化していた。
橋として、もはや成し得ない場所で対峙しているサスケの眼を、ダンゾウはまじまじと見遣る。
「イタチとサスケ…能力は同じとて眼が悟るものはこうも違うものか…」
イタチを過大評価し過ぎたか、とダンゾウはわざと嘆息する。
あか
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