九十六 逆賊と忠臣
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るというのに」
若く新参者である風影をあえて褒める行為はまるで雷影を煽っているかのようだ。
案の定、青筋を立てた雷影が、我愛羅の背後にいつの間にか佇む存在目掛けて腕を振るいあげた。
それをひょい、と首を傾けて回避した白フードの背後で、壁が凄まじい音を立てて瓦解する。
壁を粉砕した雷影に向かって、土影が猶も追及した。
「雷影…!貴様、さっきの話、あとできっちり聞かせてもらうんじゃぜ!」
次から次へと暴露された雲隠れの罪を言及する土影が「雲のきかん坊め…五影になってもそのままじゃな…」と嘆息する。
土影に図星を指され、無視を決め込んだ雷影は、自らの里が仕出かした罪を暴露した犯人を追い駆ける。
雷影が粉砕した壁の穴を通って、向こう側に向かった白フードは、此方へ凄まじい勢いで駆けて来る雷影を肩越しに見遣って、眼を眇めた。
くるり、反転する。
迎え撃つ態勢である相手を見て、雷影は鼻で嗤った。
「貴様…!図に乗るな、暁風情がッ」
文字通り、電光石火の速さで一気に懐へ飛び込む。
雷の如き速度は雷影の十八番だ。更には壁を簡単に粉砕する剛腕。
雷影と共に不届き者を追っていた雲隠れの忍びであるダルイとシーは、相手の命が終わったと確信していた。
「そうか」
だが、雷影の腕をあっさりかわした白フードはくるり、と空中で回転する。
そのまま巨体である雷影の頭を床へ打ち付け、冷たい双眸で彼は冷ややかに呟いた。
「図に乗っているのはどちらだろうな?」
「やはりお互い、手の内を知る者同士では戦い辛いな」
元は同じ『根』同士。互いに能力を知っているからこそ戦闘しにくいサクラとサイ、そしてトルネ&フー。
特にトルネは油目一族の毒虫使いであり、一度触れれば最後、触った者の細胞を破壊する厄介な力の持ち主だ。
接近戦には絶対に持ち込んではいけない。
「【超獣戯画】!!」
サイが巻物から描き上げた絵が実体化し、トルネとフーへ襲い掛かる。
それを回避したフーは「近づけさせない気だな」と苦笑した。
(【心転身】の術でサイに乗り移る…その隙に、)
(わかった)
すれ違い様にトルネとフーがアイコンタクトを取る。だがフーの狙いを読んでいたサクラがさりげなく印を結んだ。
トルネの背後に潜み、隙を窺っていたフーが【心転身】の術を仕掛けようと動く。
山中一族の独特の印である手の内側。
その先にサイを捉えたはずが、サクラが割り込んだのを見て取ってフーはほくそ笑んだ。
「馬鹿め…どちらにせよ終わりだ」
乗っ取って自死させれば良いことだ。フーは割り込んできたサクラに術を仕掛け、彼
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