九十六 逆賊と忠臣
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ことである。
故にサイは問う。自らの主に真実を。
だが。
「…そうか。まぁどちらにせよ、おまえはここで用済みだった」
真実を知られたところで元々サイと、そして春野サクラをここで亡き者にするつもりだったダンゾウは平然とした顔で印を結ぶ。
「【風遁・真空波】!!」
一筋のカマイタチ。凄まじい風がサイを吹き飛ばす。
同じく吹き飛ばされたサスケは空中で体勢を整えようとしたが、それよりダンゾウのほうが一足早かった。
「【風遁・真空玉】?」
風の玉。複数の風の玉が弾丸のようにサイとサスケの身体を貫通せんと飛び交う。
それを紙一重でかわしたサスケの横で、サイも巻物を取り出し、応戦しようとした。
だが風の玉は巻物を貫通し、サイの頬を掠める。
自らの部下にも容赦のない攻撃。
ダンゾウが本気で自分を殺そうとしていると理解して、普段無表情のサイの顔が益々苦渋に歪んだ。
そもそも五影会談に護衛としてサイと春野サクラをダンゾウが選んだ意図は、綱手に手を下した自分の部下を消せば、何の憂いもなく自らが火影の座に就けると考えたからである。
だからこそ、護衛役としてサイとサクラを指名したのだ。
本来の護衛役である自分の部下達に殺させる為に。
「ダンゾウ様…本当に…?」
「フー、トルネ!」
ダンゾウの号令でザッと現れたふたりの忍びがサスケとサイの前へ立ちはだかった。
ダンゾウの命令で尾行していたフーとトルネは、主を守るように身構える。
少し離れた場所で見張るよう指示されていたが故に、うちはイタチの真実については何一つ知らない彼らは、『根』の裏切者としてサイを睨み据えた。
「サイ…まさかおまえが裏切るとはな」
「残念だよ」
「……先輩たち…」
『根』の中でも一、二を争う実力者のふたり。
ダンゾウだけでなく先輩であるふたりが敵に回った事実に歯噛みするサイと、標的であるダンゾウを庇う敵が増えたことに苛立つサスケの間へ、今までオロオロと傍観していただけの彼女が意を決して割って入る。
「…サスケくんは目的を達することだけを考えて」
サイと共に、ダンゾウの護衛役に任命された春野サクラ。
自分も始末するつもりなのだとダンゾウの意図を察した彼女は、サスケを庇うように立ちはだかる。
「……サクラ…」
「久しぶりねサスケくん…積もる話をしたいところだけど、」
サスケの困惑をよそに、サクラは彼に背中を向ける。
本当は色々言いたいことはたくさんある。
サスケと共に一度は木ノ葉を抜けた、同じ抜け忍同士。
そしてついて行くと縋ったのに途中で木ノ葉の忍びへ引き渡された恨み言。
もっともあれはサスケなりの優しさだとサクラとてわかっている。
だが理解と納得は違
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