暁 〜小説投稿サイト〜
四月はよくても
第六章

[8]前話
「勝つぞ」
「お互いにね」
「クライマックスでもな」
 優勝してというのだ。
「その時もな」
「勝って」
「シリーズだよ」
 それに出るというのだ。
「絶対にな」
「シリーズね」
「巨人が出るものじゃないんだ」
 日本シリーズはというのだ。
「もうあそこはどれだけ出たんだ」
「飽きる位よ」
 二人共その数は言いたくもなかった。
「勝ってね」
「シリーズに出てな」
「九連覇なんてね」
 日本のスポーツの歴史に永遠に残る最悪の汚点である、昭和という輝かしい時代も汚してしまった。
「してね」
「あれだけ優勝したらな」
「日本一になって」
「もうな」
 それこそというのだ。
「優勝じゃなくてだよ」
「最下位よ」
「ずっといればいいんだ」
「永遠にね」
「そして阪神が優勝して」
「カープがね」
 ここでも二人は負けていない。
「そうしてよ」
「黄金時代だ」
「それはこっちよ」
「負けるか」
「負けないわよ」
 二人は言い合った、だが。
 夕食になるともう言い合わなかった、そのうえでそれぞれが愛するチームの応援を観たがそれぞれの試合と共に。
 巨人の試合をチェックしてだ、笑顔になった。
「負けたな、巨人」
「見事にね」
「阪神が破ったぞ」
「やったじゃない」
「いや、何と言っても」 
 寿は満面の笑みで話した。
「巨人が負けるいいな」
「それもカープか阪神が勝ったら」
「巨人は負けないとな」
「絶対にね」
「巨人が勝つと」 
 そうすればというのだ。
「それだけで世界が悪くなるんだ」
「本当にね」
 千佳もその通りだと答えた。
「だからね」
「巨人はもっともっと負けないとな」
「最下位じゃないとね」
「今日も負けて最高の気分だ」
「気持ちよく予習復習出来るわね」
「それでよく寝れる」
「最高の気分でね」 
 こう話してだった。
 二人で実際に気持ちよく勉強をして寝た、そのうえで翌朝の試合結果のニュースを新聞とテレビで確認して笑顔になったのだった。


四月はよくても   完


                     2025・4・27
[8]前話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ