白き極光編
第1章
エンカウンター・ウィズ・ア・シャドウ
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ビアの見開かれた目を、感情の無い青白い瞳が見据えている。
彼は死に体のニンジャの身体に足を掛け、無造作に蹴って忍者刀を引き抜いた。
「アバッ! アバババババッ…!」
傷口から噴水のように血を撒き散らすフォビアを見下ろしながら腕を振り、刀身に纏わり付いた血糊を払うと忍者刀を納刀した。
「行くぞインターセプター」
1人と1頭は再び闇へと溶けて行った。
「サヨナラ!」
そしてフォビアは、誰にもその最期を見届けられる事無く爆発四散した。
翌朝、通りの地面に残った血痕と爆発跡を目撃した人々の通報で自警団が調査したものの、詳細は何も判明しなかった。
「どうも何か物騒な事件があったみたいだな」
「あの爆発四散跡…ニンジャか? 偶然この街にいたのか…それとも俺達を狙っていたか? それがトラブルに巻き込まれたか」
人だかりで何も見えなかった為、身軽なロックとコールドホワイトが宿屋の屋根へ登って現場を確認した。
下へ戻ってエドガーとティナへ説明をする。
「帝国のニンジャだとしたら、奴らはまだティナを諦めていないのか? 先天的な魔導の力があるとはいえ、そこまで執着するのか…」
ロックにしてみれば、1人の女の子に軍事大国がそこまで拘る理由が見えて来ない。
「本格的な魔導技術は帝国が独占してるからな。万が一にもティナの協力で他の国にも魔導の研究を進められたら、帝国の優位性が揺らぐ事を危惧している…と、考える事も出来る」
エドガーが自身の見解を語るも、彼もまた帝国のティナへの執着は異様と感じてはいた。
「(彼女の真価は単なる魔導の素養だけではないというのか…?)」
「あら? アンタ…」
エドガーの黙考を遮ったのは、見ず知らずな年配の女性が発した声だった。
彼女はエドガーの顔をまじまじと確認した後、頭を下げた。
「…あら、人違いだわごめんなさいね。知り合いのお弟子にアンタがそっくりだったもんでね」
それを聞いたエドガーが、ふと思い当たる節があって話に食い付いた。
「ご婦人。失礼ですが、その話を聞かせていただいても?」
女性も世間話をしたい気分だったのか、快く頷いた。
「ええ、良いわよ。ダンカンさんていう格闘家でね。よくお弟子2人とあそこに見えるコルツ山に籠って修行してるのよ」
「その弟子の1人が私に」
「そう、顔つきがそっくりだったのよ」
エドガーはこれから自分達が向かう予定の山へ視線を巡らせた。
「…マッシュ」
青空を背に聳え立つコルツ山は、どこか不穏なアトモスフィアを漂わせていた。
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