第一章
[2]次話
水と火どちらが怖いか
小学四年生でスイミングスクールに通っている高橋幹代大きな目が目立つあどけない顔立ちで長い黒髪を後ろで束ねた彼女は言った。
「やっと泳げる様になったわ」
「あんたお水に慣れることからだったしね」
同じスイムングスクールに通っている一つ上の姉瑠美が言ってきた、髪の毛は妹と同じ位の長さだが束ねていない。顔立ちは姉妹でよく似ている。
「お水怖がって」
「そうなのよ、お風呂は平気でも」
それでもとだ、妹は姉にスイミングスクールから帰って家の中で話した。
「それでもね」
「プールとか海だとね」
「怖かったから」
「溺れると思ってね」
「それでね」
「入るだけじゃ溺れないわよ」
瑠美は笑って言った。
「むしろ私はね」
「お姉ちゃん火が怖かったわね」
「熱いからね」
だからだというのだ。
「火傷するって思って」
「それでお料理も」
「うちは電気コンロだけれど」
「ガスコンロだと火が出るから」
「お祖母ちゃんのお家とかまだガスコンロでしょ」
「それで火が怖くて」
「キッチンに入らなかったのよ」
こう妹に話した。
「私はね」
「そうよね」
「怖いからね」
「お水は怖がらないのに」
「火は怖いのよ、それ言ったらあんたもどうしてお水が怖かったのか」
「わからないのね」
「ええ、そうよ」
姉妹でこんなことを話した、兎角だ。
幹代はかつて水が怖かったことを言い瑠美は火についてだった。二人共姉妹がそれぞれどうして怖いのかわからなかったが。
二人の祖母である和佳奈、二人にそのまま遺伝を受け継がせている外見の彼女が姉妹が自分の家に来た時に話した。
「どっちも怖がって当然よ」
「火をなの」
「お水をなの」
「だって火傷をしたら死んで」
そうなってというのだ。
「溺れたら死ぬのよ」
「どっちも死ぬから」
「それで怖いのね」
「あんた達がそれぞれ怖がったのは当然よ」
姉は火、妹は水をというのだ。
「どちらも同じだけ怖いからね」
「どっちも死ぬから」
「そうなるから」
「そうよ、そしてね」
そうであってというのだ。
「そうしたものって気を付けることが大事なのよ」
「怖がったら駄目じゃないの」
「私達駄目だって思ってるけれど」
「怖いものは怖いってわかって気を付ける」
そうすることだというのだ。
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