第三部 1979年
新元素争奪戦
極東特別軍事演習 その1
[2/3]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
線を気にすることなく、赤裸になり、強化装備を付けた。
「KGBの屑どもが来る前に片づけるぞ。」
隊長の掛け声に対して、隊員一同が合わせて答える。
血を揺るがすような雄たけびを上げ、拳を振り上げ、彼らは戦術機へと走っていった。
一方、KGBのアルファ部隊にも出撃が命ぜられた。
極東軍管区司令による軍事叛乱と報告が届けられたからだ。
放置すれば日米両政府、或いはゼオライマーの介入を招く事態になる。
そういった懸念から虎の子の戦術機部隊が送り込まれることとなったのだ。
コムソモリスク・ナ・アムーレ市内にいる第20親衛ロケット旅団は、ヴォールク連隊により簡単に武装解除された。
ヴォールク連隊は食料遅配の件を知ると、反乱軍の直訴に同意する態度をとった為、簡単に説得に応じたのだ。
事件はそれで解決するかに思えた。
だがKGBのアルファ部隊が、匍匐飛行で市庁舎前のレーニン広場にやってくると、小競り合いが始まってしまった。
広場に居た多くの兵士が、KGBに帰還をうながすシュプレヒコールが起こると、KGBのmig23は突撃砲を向けた。
「只今の行為は、ソ連への反革命行為とみなす」
突如として、殷々とした砲声がレーニン広場に鳴り響いた。
オレンジ色の発射炎が閃き、青白い曳痕が飛ぶ。
20ミリ口径弾が停車する車両の列に殺到する。
一台が被弾したのか、ボンネットから火を噴き、続いて大爆発を起こして車ごと吹き飛ぶ。
周囲にいる兵士は飛散したガソリンを浴び、火だるまになりながら周囲を逃げまどう。
「くたばれ、チェキストども」
ヴォールク連隊のカザフ人少尉は顔を真っ赤に染め、把手を握りしめながら、引き金を引く。
ともすれば発射の反動で引きあがりそうな突撃砲の銃身を、戦術機の左手で抑えながら火を吐き続ける。
直後、射弾を浴びたアルファ部隊の機体が、腰の付け根にある跳躍ユニットの付け根から火を噴く。
機体は燃えながら、地面へと叩きつけられる。
ヴォールク連隊とアルファ部隊の衝突事件は、拡大するかに見えた。
だが事態を聞いて駆けつけていた赤軍参謀総長の説得に応じる形で、この衝突は事故として片づけられた。
アルファ部隊の隊員が射撃をし、破壊したトラックに墜落事故を起こした形を取ることとなり、ぶつかったトラックと銃撃された兵士は殉職扱いになった。
一方、ヴォールク連隊のカザフ人少尉は、KGB将校立ち合いの元、拳銃自殺を強要された。
最後まで彼は拒否していたが、参謀総長から家族の面倒を見るとの言質を得ると笑顔で自刃した。
糧食遅配事件は、最終的に業務隊の責任者が軍法会議に掛けられることで解決を見た。
中央の統制不足による輜重の遅れという真の原因は伏され、責任者の大佐の横領によるものとされた。
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ