白き極光編
序章
エスケープ・ドゥ・マイン・シージ
[1/8]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
坑道内を疾駆…とはいかないが、真白なるニンジャ、コールドホワイトは愛用のスノーモービルで駆けていた。
あの魔導の力を持つ少女を確保しておけば、何かと役に立つ。
元々彼はこの世界の存在ではなく、我々の知る地球と似て非なる世界に生きていた。
そこでとある死神とのイクサに破れ死亡したはずの彼は、気付けば愛機と共にこの世界に降り立っていたのだ。
当然、ガストラ帝国に対する忠誠心などという物は無く、ナルシェ侵攻を計画していた帝国に傭兵として雇われただけである。
ただその日その日を生き延びる事だけを思って淡々と任務に従っていたが、彼らが重要視する力を持つと思われる少女が帝国の支配を脱した所を見たコールドホワイトは、その力を利用して成り上がる野心を抱いたのだ。
「(俺は男だ! ニンジャだ! せっかくの新たな生、誰かの使い走りのままで終わってなるものか!)」
元の世界で絡め取られていた組織の呪縛から解き放たれた今、イクサに生きる戦士として、この世界で何かを成さんと考えた。
魔導も幻獣も、奴らの求める力を奪い取り、利用してやるのだ!
と、ここでコールドホワイトはエンジンの出力を落とし、周囲へ耳を傾ける。
彼のニンジャ聴力が、無数の足音を察知したのだ。
「…下の階層か?」
薄暗い小部屋にスノーモービルを隠すと、息を潜めながら物音の後を追い、地下の闇の中へと消えていった。
その青年は焦っていた。
銀の髪を揺らしながら、軽快かつ慎重な動きで坑道の中を走り、目的の少女を探す。
トレジャーハンターとして培った観察眼が、壁や地面に残された痕跡から少女の移動ルートをトレースする。
「ガードの連中に先に見つけられるとマズい事になるぞ…」
何しろ帝国によって街を荒らされ、仲間を何人も殺されているのだ。
十中八九、帝国の情報を引き出すために苛烈な拷問を加るだろう。
彼らは当の少女が洗脳によって思考を奪われていた事など知る由も無いし、知ったところで関係無いと言いかねない。
「っと…」
足跡を追った先の通路には、真ん中に大きな穴が空いており、痕跡もそこで途絶えていた。
周囲には少女の物の他、武装した兵士…ガードの物と思われる足跡も複数見受けられる。
追い詰められて飛び降りたか? 否、意図せず落ちたのだろう。
この地面の崩落はごくごく最近…それこそ今さっき発生したものだ。
「…階段探すよりこっちのが早いか」
青年は手際よくザイルを固定すると、穴の中を降りていく。
やがて下の階層が見えてくると共に、崩れた地面の残骸に覆い被さるように倒れた少女の姿を捉えた。
ある程度の高さまで降りると、ザイルから手を離して飛び降り、少女の脇へ着地した。
「…良か
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ