第二章
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「ナチスの敬礼人前でやって」
「いつも人を小馬鹿にして」
「ふんぞり返って如何にも偉そうで」
「政府に入って利権漁ってるの間違いないし」
「平気で嘘言って偏見撒き散らす」
「買収も公然と行う奴なんか気にしないわ」
「あんな奴になる位ならね」
龍太郎は恵美に言った。
「クーポン券使うね」
「大きい小さいって何よ」
「思いやりも品性もない奴に言われてもね」
二人は気にせずクーポンを使い続けた、そうして結婚した時には自分達の家を建てられる位の貯金を備えることが出来た。その頃イスクはというと。
「破産したわね」
「うん、自分の会社の商品が売れなくなってね」
「会社の株は暴落して」
「物凄く性格悪かったから皆ついて来なくて」
「全部の会社から追い出されて」
「しかも悪事の賠償金がとんでもない額で」
「遂に破産」
「今じゃ一文なしね。見て」
ここでだ、恵美は自分のスマートフォンにとある画像を出して見せた。
「今のあいつよ」
「ああ、ホームレスなんだ」
「そう、こいつホームレスの人達も凄く馬鹿にしていたけれど」
「今ではだね」
「その馬鹿にしていたホームレスになったのよ」
「そうなったんだね」
「それでも過去のことがあるから」
一連の発言や行動がというのだ。
「誰からも相手にされていないわ」
「文無し宿無しで」
「豪邸も別荘も全部売られてるし」
そうなっていてというのだ。
「もうね」
「終わりだね」
「クーポンを馬鹿にして」
「節約を考えなかったけれど」
「今やね」
「自分はクーポンどころじゃないね」
「ええ、どんな優しい人も」
そう言われる者もというのだ。
「助けていないそうだよ」
「慈善事業のだね」
「本当にお金あった頃やりたい放題で」
「思いやりも優しさのないことばかり言って」
「悪いことばかりしてきたから」
「それでだね」
「もうね」
それこそというのだ。
「誰も助けない、道行く人に馬鹿にされ石を投げられる」
「随分なものだね」
「そうなってるらしいわ」
「それでも同情出来ないね」
「ええ、クーポンを馬鹿にしたからね」
二人がいつも大事に使っているそれをというのだ。
「もうね」
「全くだね」
「じゃあ今日もね」
「クーポン使おう」
二人でこう話してラーメン屋に入った、そしてその店のクーポン券を使ったのだった。そうしたまた得をしたと二人で笑顔で話したのだった。
クーポン券 完
2025・4・18
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