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世界はまだ僕達の名前を知らない
決意の章
06th
怪しい宗教家
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判らなくなるトイレ男であった。

「……若しかしたら、こないだの壷売りと関係が有るかも知れないな?」

「壷売りか……そう言えば、アレも確かに宗教絡みだったな。売り手達は宗教になんて興味は無かったが。だが、トイレだぞ? 壷じゃない」

「同じ陶器だろ? 若しかしたらアイツらの残党が活動を再開したのかも知れない。アジトに寄るぐらいはしてもいいんじゃないか?」

「そうだな……」

 前衛兵は空を見て、

「……暗くなる前に行くか。よし、お前ら。話は聴いてたな? これから壷売りの元アジトに寄る」

「「「「了解」」」」

「……………………?」

 話を聴いていても今一よく判らなかったトイレ男は困惑した。壷売り? ホワット?

「私も着いて行こう」

「宜しく頼む」

 という訳で衛兵五人+トイレ男という元々濃ゆかったメンツに更に巨女を投入した劇濃メンバーで壷売りの元アジトとやらに行く事になった。

 巨女が手近な路地に入り、前衛兵達が続いたので、トイレ男も追い掛けた。

 そこから数回角を曲がり、トイレ男が表通りへの出方が判らなくなった頃、巨女と衛兵達は立ち止まった。

「…………?」

 そこは或る建物の前であった。

「あぁ、貴様には説明していなかったな」

 前衛兵が思い出した様に言う。

「最近『壷売り』という悪党が居たんだが、それは知っているな? 衛兵(こちら)からも警戒をする様に大々的に呼び掛けていたが」

「……………………(首を横に振る)」

「……知らんのか…………。まぁ、宗教に勧誘して、そうして得た信者の信仰を利用して高い商品を売り付ける悪い奴らだ。売り物は専ら壷だったので『壷売り』と呼ばれている」

「……………………」

 安直過ぎないだろうか? そう思った。

「その事件は先日解決したのだが、ソイツらのアジトがここだったという訳だ」

「……………………」

 漸く、先程の話が解ってきた。

 詰まり、彼らはその壷売りとやらの残党が、トイレ男を騙してトイレを買わせたとでも思っているのだろう。全く勘違いも甚だしい。トイレ男は決して誰かに誘われたのではなく、自らの意思でこのトイレの使徒と(以下略)。

 取り敢えず理解を示す様に頷くと、前衛兵は頷き返して、

「ここを見て何か思う事は無いか? 見憶えとか」

「……………………」

 トイレ男は建物を見た。

 結論のみを言うが、全く記憶に無い建物だった。

「……………………(首を横に振る)」

「むっ…………」

 前衛兵は眉を顰めた。

「まぁまぁ、アジトは変えたんだろう。奴らが同じ教えを流用しているのだとしたら、内装を見て思う事が有るかも
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