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世界はまだ僕達の名前を知らない
決意の章
06th
怪しい宗教家
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……………………」

 中年も去ってしまった。

「……………………」

 もしや、誰も知らないのだろうか? そしてその事を知られたくがないが為に、バレる前に去っているのだろうか? まだ二人からにしか振られていないのにもうそんな事を考えたくなってきた。

「……………………」

 しかし諦める訳にはいかない。次々と見境無く人々に押し掛けてゆく。

 そして?

「貴様かッ、トイレを信仰する怪しい宗教に人々を誘っているというのはッ」

 衛兵を呼ばれた。



     ???



 トイレ男は無実を主張した。

 しかし甲斐無く連行されてしまうのであった。

「名前、年齢、住所、職業は?」

「……………………(首を横に振る)」

「ハッキリ言え!」

「……………………(首を横に振る)」

「喋れんのか?」

「……………………?(首を傾げる)」

「あぁもうッ!」

 道中、一番前に居た衛兵にあれこれ質問されたトイレ男であったが、どれも上手く答える事ができなかった。

「これだから宗教家はッ」

 どうやら宗教が嫌いらしい。トイレ男には関係の無い事だった。

 トイレを抱えた一人の青年を複数の衛兵が周りを固めて行進する(サマ)はなかなかに異様であった。

「喋らんのも貴様の怪しい宗教の怪しい教義か?」

「……………………(首を横に振る)」

「なら何故喋らん。喋れんのか?」

「……………………?(首を傾げる)」

「……………………、ふぅー……」

 前衛兵は一瞬悪鬼の如き形相を浮かべたが、爆ぜる前に冷静になる事を思い出せたのか、そう深く息を吐いた。

「……もういい、話は詰所で聴こう…………」

 そしてややげんなりした様子でそう言うのであった。

 一行は道を進む。丁度人の流れに逆走する様な向きなので、道の中央を歩く彼らを人々は左右に避けていった。

「……………………」

 前衛兵からの言葉が無くなり、トイレ男が暇を感じ始めた頃。

「おっ、マエンダ氏じゃないか!」

「むっ、リーフィア氏か」

 そう彼ら……正確には前衛兵に話し掛ける者が現れた。

「今は何をしているんだ?」

「怪しい宗教家を見付けたので詰所まで連行する所だ」

「むっ、宗教家か。それは……」

 話し掛けてきたのは大柄な女だった。

 とても巨大で、筋肉の大きく盛り上がった女だった。特に肩や腕の筋量は凄まじい。服で見えてはいないが、腹筋も割れているのだろう。六つか、或いは八つか一〇か有るかも知れない、そう思わせる女だった。

 声が低めで、口調も前衛兵と似ているので、偶にどちらが話しているのか
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