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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
激闘編
第百五話 瓦解の一歩
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馴化に都合がいいだろうと思ったんだ。進攻作戦は既に動き出していたけど、人員輸送と物資輸送だけだから、軍の作戦の一部という事で新たな予算措置も要らず、隠し通す事が出来た。

”ハーン安全化の為に、帝国軍の根拠地となるガイエスブルグ要塞を破壊する…という事ですな。なるほど、なるほど…ですが帝国軍の反応が気になりますな“

「一番近いのはヴィーレンシュタインに存在する帝国艦隊ですが、帝国軍我々の動きに気づいて彼等をキフォイザー宙域に向かったとしても、十日はかかる。オーディンからは十五日です。そして、我々が同宙域に到達するのは八日後だ。時間的余裕はある」

”まるで空巣の様ですが…“

「心胆寒からしめるという事はそういう事ですよ、ムーア提督。違いますか?」

”それもそうですな“

「他に質問がなければ、このまま艦隊速度最大で進撃を続行。以上です。部署に戻って下さい」


通信画面にはビュコック長官だけが残っていた。
「結局、長官のお手を煩わせる事になってしまいました」

“構わんよ。国内でただ待っておるのも手持ち無沙汰じゃからな。それに我々がアムリッツァに到着すれば、貴官等がアムリッツァから消えた事を帝国軍はしばらく気づかんじゃろう”

「…まさか長官、フォルゲンの増援に行こうとか考えてませんか」

”その通りじゃ。貴官等の存在を隠し通す為にも、せめてもう一個艦隊は出張らんとな。増援がアッテンボローだけではそのうち疑われてしまう。この段階で儂が前に出れば、帝国軍の目は自然とフォルゲンに向くじゃろうて。違うかな?”

「それはそうですが…相手はミューゼルです。危険です」

“なあに、ヤンもおる。それに二十にもなっておらん若者に敗ける程、まだ老いぼれては居らん。大丈夫じゃ”

「…分かりました。本当に面倒をかけて申し訳ありません」

“ハハ、詫びは貴官が帰ってから改めて聞くとしよう。ではな”

 通信は切れた。迂闊だった、これだけの大作戦なのだ、自分だけ国内で待っている様な人じゃない事はアニメで解っていた事じゃないか…長官が言う様にヤンさんも居るしまあ大丈夫だとは思うけど、ラインハルトにとって同盟軍宇宙艦隊司令長官というのは美味しすぎる餌だ…。
「あの、閣下?大丈夫ですか?」
「え?ああ」
ミリアムちゃんの心配そうな声に振り向くと、うちの参謀達が俺を見ている。
「聞いての通りだ、長官の為にも頑張らないとなあ。よし、ここからは内輪の話だ。ワイドボーン副司令」
「はっ」
「宇宙艦隊副司令長官として命じる。貴官を臨時の第九艦隊司令官に任ずる」
「え?あ、拝命致します!」
「宜しい。スタッフもそのまま残す事にする…ところでワイドボーン提督、この艦隊は最後尾に位置しているが、今必要な措置は何だろう
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