激闘編
第百五話 瓦解の一歩
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はないかも知れぬ。だが伯爵夫人が奴の近くに居れば、陛下に向ける怨恨の量は薄くなると思ったのだ…陛下ご自身は何も気にしておられなんだが」
「もしや…ゴールデンバウム王朝と帝国は別、と考えておるのか」
「そうではない。私は帝国に忠誠を捧げている。帝国とゴールデンバウム王朝が一体である限りそれは同一の物だ。陛下に難が及べばそれは帝国の混乱を意味する。それを避けたいだけだ」
「ふむ…ミューゼルを処断すればよいだけにも思えるが、卿にとって奴の戦才は捨て難いようじゃの。保険という訳か」
「そうとってもらって構わぬが」
「詭弁にも聞こえるが、現状では仕方ないか。貴族どもがあれではな」
貴族ども…有志連合の事か。辺境の情勢に慌てた大貴族の連合……許し難い事ではあるが、軍事的には辺境は緩衝地帯に過ぎない。帝国中枢を固めておきさえすればよいのだ。結果叛乱軍の補給線は延び、奴等に膨大な負担を強いる事が出切る。叛乱軍が辺境を押さえても、その経済的基盤がとてつもなく小さいが故にインフラ開発から主導せねばならない。叛乱軍の領域に隣接しているアムリッツァとは違うのだ、軍事的に補給面で負担を与え、経済的にも大きな負担を強いる事が出来る。現実的には辺境領主達は平民達とそれ程変わりはない。政治的にどの様になろうとも、日和見で望むだろう。帝国建国から五百年近く経っても貧しいままで、政治的、軍事的にイニシアチブを取れぬ者達の処世術とは大昔からそういうものだ。叛乱軍がどれだけ経済的援助を与えてもどうにもならんだろう。貴族達にはそれが分かって居らんのだ…だが貴族達を無視する事は出来ない、帝国内に限って言えば、その経済的軍事的な勢力は巨大なものだ。陛下がお倒れになり奴等が暴れだす様な事態は絶対に避けねばならん…。
「ところで、卿の命を狙った刺客の黒幕についてはどうなったかの。何か分かった事はあるか」
「それについては何も判明しておらん。そういった調査は不得手でな」
「さもあろう…こちらでも調べておる。もうしばらくすれば何か分かるであろう。で、グリューネワルト伯爵夫人の事だが…」
7月24日04:00
ハーン宙域外縁(シャッヘン方向)、自由惑星同盟軍、第九艦隊旗艦ヘクトル、
ヤマト・ウィンチェスター
「第四艦隊より報告、帝国軍の哨戒部隊多数を撃破、シャッヘン宙域中心部に至る空間には有力な敵集団は発見出来ず」
「了解した。少佐、返信だ。第四艦隊は進撃を続行、アルメントフーベル宙域に向かえ……皆を集めてくれるかい」
入口まではすんなり入れた訳だ…さあ、原作フォーク氏原案、俺修正による帝国領進攻の開始といきますかねえ!
司令部艦橋にぞろぞろとうちの参謀達が集まって来た。通信画面には各艦隊の司令官達。そしてビュコック司令長官。
「ビュコック長官
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