トラウマ
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可奈美の剣術は新陰流として、相手の動きに合わせて反撃を得意とする。
友奈の拳を受け流し、響の蹴りを受け止める。それぞれを平手で弾き落とし、剣で反撃。
可奈美の剣は、友奈が盾にした桃色の光と相殺され、弾かれる。その隙に響が躍りかかってくるが、可奈美は背中を反らし、彼女の攻撃を回避した。
「戦えないって聞いたけど、全然問題ないねッ!」
響の声が聞こえた途端、可奈美の足が宙を舞う。
響が可奈美へ足払いをしたことに気付いた時には、もう友奈が拳を放っている。
可奈美は千鳥を地面に差し、体を安定させる。空中に投げ出された足を駆使し、友奈の拳を蹴り飛ばした。
「……!」
着地し、二人から距離を取った可奈美は、また千鳥を構える。
「……フフッ!」
確かに、さっきまで可奈美は剣が使えないほど、体にトラウマを負っていた。
だがやはり、剣術が好きだ。
可奈美はそう確信しながら、対峙する二人の雰囲気が変わっていくのを感じた。
「……来る!」
「可奈美ちゃん、行くよ!」
友奈の拳に桃色の光が宿る。
それが何を意味するかは、可奈美も重々承知している。
そして。
「勇者パンチ!」
友奈が放つ主力技。周囲に花びらを散らしながら、凄まじい威力で拳を放つ友奈の象徴ともいえる技だ。
可奈美は、千鳥でそれを受け流し、反撃しようとするが。
___さて……これからひたすら君を切り殺すが……君はあと何回で死ぬのかな?___
「がっ……!」
「え!?」
回避も反撃もしなかった可奈美の身体がくの字に曲がる。
友奈のパンチは写シを貫通し、可奈美の体を大きく吹き飛ばした。
「可奈美ちゃん!」
「ええッ!? 今の、完全に避ける流れだったのにッ!?」
二人の悲鳴を聞きながら、可奈美の身体が地面を跳ねる。
「ぐっ……!」
可奈美は起き上がり、フラフラの千鳥を構える。
だがすぐに痛みに堪え切れなくなり、仰向けに倒れた。その手から千鳥が零れ落ち、生身に戻ってしまう。
「か、可奈美ちゃん! 大丈夫!?」
友奈は慌てて元の姿に戻り、可奈美に駆け寄る。彼女に助け起こされながら、可奈美は
「……うん、大丈夫」
半ば呆然としながら、可奈美は答えた。
「あっちゃ〜……」
上を向こうとする可奈美の視界の端で、響が額に手を当てていた。
「全然へいき、へっちゃらじゃないかも……?」
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