白き極光編
序章
オーロラ・イン・ザ・スチームシティ
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う物なのか…?」
半ば魅入られるように視線を外せなかったコールドホワイトだが、頭を振って正気に戻る。
そして周囲を確認する。
幻獣の近くには爆発四散跡と魔導アーマーの残骸が散乱しているが、誰の死体も転がっていない。
いや、そもそもにして目を凝らせば残骸は魔導アーマー1機分しか無いように見える。
加えて、彼のニンジャ観察眼は見逃さなかった。
アーマーの残骸から、誰かが引きずり出されたような痕跡を。
損傷が激しく、ウェッジ、ビックス、魔導の娘…誰の機体なのかは判別できないが、少なくとも1人は生存の可能性が残っている。
しかし、最大の問題は幻獣だ。
自分1人でもこれを回収し帰還するべきか?
それとも生存者と合流してからか?
「ヌゥー…」
コールドホワイトは幻獣を見上げる。
未だ生きて、意思を持っているかのようなその視線が彼を射貫く。
ザワザワとニンジャソウルが萎縮する感覚に、思わず後退る。
本能が告げている。逃げろ。ここにいてはならない。
「ッ…!」
不意に背後から気配を感じた。
10人ほどか?
「幻獣は無事か!?」
「帝国兵は!?」
状況判断だ。
支給されたデバイスで幻獣の姿を記憶素子へ収めると、素早くモービルへ乗り込み、火花を散らしてターン。
愛機に多少の傷が入ってしまうかもしれないが、背に腹は代えられぬ。
「お、おいっ! 貴さ…」
ガード達がこちらを発見して声を張り上げるが、聞く耳持たぬ。
行く手を阻む敵に構わず急加速し、強引に突破した。
「帝国兵だ! 帝国兵が逃げるぞ!」
ガードは慌てて銃を構えるが、壁を走るように角を曲がったコールドホワイトを捉える事は出来なかった。
追手を振り切り、高台に登ったコールドホワイトは、街の中でやや大きめの家を視界に収める。
「ここを開けろ! 魔導アーマーに乗っていた娘を出せ!」
「そいつは帝国の手先だぞ!」
騒ぎながらガードが扉を乱暴に叩いている。
「生き残りはあの娘か…」
コールドホワイトは顎に手を添えて沈思黙考する。
思考を制御してまで運用し、さらに作戦への投入には相応の手続きと許可を要する魔導の力を持つ娘。
「…利用出来るか」
とある思惑が浮かんだその時、家の裏口から見覚えのある少女が飛び出し、辺りを気にしながら走り出した。
制御を脱したのか?
「ソウカイヤ、ザイバツ、アマクダリ…何もしがらみの無いこの世界…これが夢でなく、思いがけず得た第3の生ならば、己の為にのみ生き足掻くも一興」
凍りかけていた魂に、熱が灯り始める。野心の熱だ。
ドサンコ・ウェイストランドの雪原を縦横無尽に疾ってい
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