白き極光編
序章
オーロラ・イン・ザ・スチームシティ
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、勢い良くカタナを振り上げた。
「イヤーッ!」
「アバーッ!!」
首が胴を離れると同時に、氷スリケンが砕け散り、主の身体をキラキラと彩った。
次の瞬間!
「サヨナラ!」
断末魔の叫びを上げ、ダイヤモンドダストは空中で爆発四散した。
宿主を失った事で、エネルギーの行き場を無くしたニンジャソウルの暴走だ。
氷の破片が雪と混ざり合い、夜空を幻想的に演出するが、コールドホワイトにはそれを眺める余裕は無かった。
「何が起きた…?」
彼はそのまま家々の屋根をモービルで飛び跳ねると、街の中央を走る大通りへ着地して炭鉱を目指した。
「ひっ…!」
そんな彼の進路上に、住人と思しき防寒具を纏った男が路地裏から現れ、恐怖の表情を浮かべた。
戦闘音に気付いて様子を見に来たのだろうか。
「………」
以前のコールドホワイトであれば、邪悪な笑みを浮かべ、行き掛けの駄賃とばかりに嬉々として首を斬り飛ばしただろう。
だが、どういうわけか今の彼はモータル(非ニンジャ)を殺す事への快感や高揚感、溢れ出ていた殺戮衝動などが殆ど湧き上がらないのだ。
彼の内に宿る古代ニンジャの魂…ニンジャソウルの脈動が、かつてよりも弱々しくなっている事に起因しているのだろうか?
その影響なのか、以前は人間狩りに狂喜していた残虐性は鳴りを潜め、別人のように…それこそ得意とするフィールドたる雪原のように冷たく静かになっていた。
コールドホワイトは尻餅をついた男に一瞥だけくれるとその脇を走り抜けた。
炭鉱の入口から坑道内に至るまで、ガードや軍用狼シルバリオが焼け焦げたり、感電死して倒れていた。
魔導アーマーの主兵装であるビーム砲によるものだろう。
どうやらウェッジら3人はここまでは滞り無く進む事が出来たようだ。
少し大きめのゲートの向こうでは、巨大なカタツムリの殻のような物が転がっており、これも魔導アーマーによる損傷が見られる。
モービルから降りて中身を覗くと、既に息絶えていた。
「なんだこれは…ヨーカイの類か?」
この世界に来てから、通常の生き物やバイオ生物と大きく異なる怪物を多数見掛けたが、これほどの巨大な物は初めて見た。
「…この先か」
先ほどの悪寒は、こいつではない。
だいぶ通路が狭くなってきたので、モービルは手で押して進む。
「ムッ…」
突き当たりの小部屋に入った瞬間、背筋が凍るような感覚を味わう。
それはまるで、ニンジャソウル自体が恐れを抱いているようにも感じられた。
コールドホワイトの見開かれた瞳孔、その視線の先には、長大な蛇に鳥の翼が生えたかのような怪物が氷漬けになっていた。
「これが…奴らの言っていた幻獣とい
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