白き極光編
序章
オーロラ・イン・ザ・スチームシティ
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降りしきる雪と夜の闇が視界を遮る中でも、そこに人が暮らす限り街の灯りは輝きを絶やさない。
炭鉱都市ナルシェ。
街中に設置された無数の大型ストーブを動かす蒸気機関が、雪と競うかのように夜空を白く染める。
その街を見下ろす崖の上に、4つの影が立った。
「あの都市か?」
「魔大戦で氷漬けになった1000年前の幻獣か…またガセじゃねえのか?」
搭乗者の上半身が露出する形となっている人型兵器。
軍事大国ガストラ帝国が誇る主力兵器・魔導アーマーである。
それに搭乗するブラウンの軍装を纏った2人の兵士が、眼下の灯りを眺めながら言葉を交わす。
「フム。だが、あれの使用許可が出るくらいだ。かなり確かな情報だろう」
2人の片割れ、ウェッジが、後方に控える3機目の魔導アーマー搭乗者へ視線を注ぐ。
緑がかったブロンドの美しい髪を、頭の後ろで纏めている少女だ。
幼さを残しつつも整った顔立ちだが、その瞳に光は灯っておらず、額に取り付けられたリングが妖しく明滅している。
「生まれながらに魔導の力を持つ娘か…魔導アーマーに乗った兵士50人を、たった3分で倒したとか…恐ろしい」
もう一人の兵士、ビックスが身震いをする。
「だが、その頭の輪で思考を封じているのだろう?」
それまで黙っていた、スノーモービルに跨がった男が口を開いた。
防寒仕様の白い装束は、ウェッジ、ビックスの鎧に比べると明らかに防御能力に劣りそうではある。
目元だけを露出した頭巾のため、その表情は窺い知れない。
「そうだ。俺達の命令通りに動かす事が出来る。無論、アンタにも働いてもらうぞ」
ウェッジが男へ若干の訝しさを向けながら言う。
「当たり前だ。俺はその為に同行させられたのだからな」
「妙な真似はするなよ。お前がドマ王国のスパイでないとは言い切れないんだからな」
ビックスもまた、彼に対しては怪訝な表情。
「勝手に疑っていろ。だが、雪中のイクサであれば俺に敵はいないぞ。たとえ魔導とやらでもな」
暗に敵対するなら相手になってやる…という意図を込めた言葉を返しつつ男はハンドルを握り、エンジンを蒸かせる。
「東から回り込むのだったな。さっさと行くぞ」
真っ白なスノーモービルが、雪上に跡を残してターンする。
「(怪しい男だが、雪上戦闘演習での活躍は実際目覚ましかった…せいぜい実戦で見定めさせてもらうか)」
3機の魔導アーマーと1台のスノーモービルは、ナルシェへ向けて移動を始めた。
雪が降っていたのは幸いだ。
人々は家に籠り、夜陰も相まって隠密性を高めてくれる。
実際彼らは何の障害も無くナルシェの入口へと至っていた。
「ナルシェは自衛戦力としてガー
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