第二章
[8]前話
「鰻は美味くないな」
「そこまでか」
「まあ焼いたままでも美味いさ」
祖父はこうも言った。
「けれど味が全く違うんだ」
「タレでか」
「そして特にな」
「この店のタレだとか」
「ここまで美味くなるんだ」
「鰻なら同じじゃないんだな」
「それはお前もわかってくるさ」
社会人になったばかりの孫に笑って話した、英雄はこの時はそんなものかと思っていたが夏の休暇の時にツアーでイギリス旅行に参加し。
そこでイギリスの料理を食べてだ、祖父に帰国してから言った。
「本当に鰻はタレだな」
「それで味が全然違うな」
「いいタレの店は美味いよ」
こう言うのだった。
「本当にな」
「イギリスでわかったか」
「あっちで色々食ったよ」
祖父に大阪千日前の方を一緒に歩きつつ話した。
「噂通りでな」
「まずいな、俺も昔行ったがな」
イギリスにというのだ。
「鰻なんてな」
「あのセリーな、あれはないよ」
「まずかったな」
「祖父ちゃんの言うことがわかったよ」
祖父に憮然として話した。
「あれはないよ」
「そうだ、本当に鰻はな」
「タレだな」
「あれが大事だ、ああしてな」
「タレを使わないとか」
鰻のセリーの様にというのだ。
「駄目か」
「そうだ、もっともあの料理は他にも色々とまずいが」
「鰻はタレが命だな」
「覚えておけよ」
「よくな」
強い声で言ってだった。
祖父と共に船場のその店に行って鰻を食べた、やはりその店の料理は美味く彼は祖父に言った。鰻はこうでなければと。
鰻のタレ 完
2025・4・15
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