第十二話 生贄ではなくその一
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第十二話 生贄ではなく
義青は中南米も領土に含めていった、大抵の国は使者を送り帝国に入ればどうなるかを話すと大人しく降ったが。
中には降らない国もあった、そうした国は攻めて降したが。
メキシコの北の国の王であるコロコテシュ、蛇人の彼を降した時に告げた。
「生贄は禁じる」
「これからは」
「そうだ、神々には獣や家畜の肉や野菜をだ」
「捧げるのですか」
「魚でも果物でもいい、兎角だ」
「人を殺してですか」
「生贄にすることは禁じる、訳はもう言ったな」
「無駄に人の命を奪い」
「そしてだ」
そのうえでというのだ。
「神々も喜ばれていない」
「生贄を求めておられない」
「求めているのは幸せだ」
「我等の」
「この世界の安泰とな」
「そうであるので」
「それでだ」
その為にというのだ。
「生贄は捧げるな、いいな」
「これからは肉や野菜を捧げるのですね」
「神々もそれで喜ばれる」
彼等が信仰する神霊達もというのだ。
「だからな」
「それで、ですね」
「これからはな」
「生贄ではなく」
「そうだ」
「供物を捧げるのですね」
「そのことを国全体に告げるのだ」
コロコテシュに告げた。
「いいな」
「あの、生贄に捧げた罪は」
コロコテシュは義青に問うた、彼の王宮の中に入り自信と向かい合って座っている彼に対してそうした。
「帝国では罪になりますが」
「帝国になりだな」
「それを行って来た私と国の者達は」
「今この国は帝国になったのだ」
義青はコロコテシュにこう返した。
「帝国の法は今よりこの国に行き渡る」
「帝国となったので」
「帝国に入るまではその国の法で動くからな」
「それまでのことはですか」
「問わない、法は行われた時より問われる」
そうしたものだというのだ。
「だからな」
「それで、ですか」
「これまではいい、生贄は今より禁じられてな」
「これまでのことはですか」
「問わない」
一切というのだ。
「だから安心するのだ」
「それでは」
「法は遡らない」
義青はこのことは強く言った。
「決してな」
「施行された時からですね」
「それからは認められ禁じられるが」
「それまでのことはですね」
「問われないのがな」
それがというのだ。
「法だ」
「遡らない」
「そうでなければ法でない」
決してというのだ。
「最早な」
「左様ですね」
アスもまさにと応えた。
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