信用
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「ゲートキーパーですか……」
初めての相手であるフロストノヴァを、この家の主はじっと見つめた。
柏木鈴音。ゲートキーパー、リゲルのマスターであり、逃げを専門とする参加者だ。
「……本当にいいの? マスター」
「問題ありません。仮に彼女がここで暴れても、衛藤可奈美さんと松菜ハルトさんが守ってくれるでしょう」
鈴音はそう言いながら、ハルトと可奈美に目を移す。
ハルトは苦笑しながら包帯だらけの腕を見せつけ、「この体でよければ」と返事をする。
「安心しろ」
一方、当のフロストノヴァは壁際で腕を組みながら鼻を鳴らす。
「私はもう聖杯戦争の願いを求めるつもりはない。ただ、興味本位で来ただけだ」
「そうですか……」
鈴音はリゲルと目を合わせる。
何らかのアイコンタクトなのだろう。リゲルが頷くと鈴音は語り始めた。
「話題の超大型巨人ですが、破壊した建物に傾向がありました」
鈴音はそう言って、パソコンを操作する。
すると、拡張モニターに、様々な会社の株価が表示された。
「これは?」
「今回の騒動で下落した会社の株価です。本社や重要な拠点を失った会社が、どんどん株価を落とし、このままいけば倒産の可能性だって出てきます」
「はあ……」
ハルトは空返事しかできなくなっていた。
隣の可奈美を見て見れば、目が点になっている。「ぽーっ……」と声にならない声を上げ、頭から蒸気が上がっているようにも見える。
「ですが一方で、この巨人が出現したことで利益になる会社もあります」
鈴音は続け、右上のモニターを指差した。
たしかに、そこに書かれている棒線グラフは、他のグラフと異なり上昇傾向にある。記載されている日付によれば、巨人が出現する前後でその株価が数倍にも暴騰していた。
「そしてその中で、本社が見滝原にある会社が、ここです」
そして棒グラフを塗りつぶすように出現する、地図データ。見滝原北と表示された地名の中で、大きく記載された敷地が特徴だった。
その社名をハルトが口にする前に、フロストノヴァが手を上げた。
「カブというものはよく分らんが……それで本当に、マスターが断定できるのか?」
「あくまで可能性の話です。株に関しては、あなたのマスターに聞いた方が分かりやすいと思いますよ」
フロストノヴァの問いにさっと答え、鈴音はその対象である会社の名前を見上げた。
「見滝テック……見滝原で有数の大企業です。もともとは電子機器メーカーでしたが、最近はあらゆる工業に手を広げています」
「最近新社長が就任して、どんどん事業拡大も行っているのよね。まあ、あちこちでCMもやっているから嫌でも目に入るでしょうけど」
「う、うん……知
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