第1話 ”逸脱”の火曜日
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いくなんて、不用心よ、すずか。」
「うっ、ご、ごめんねお姉ちゃん。けど、本当に気になったの・・・。」
忍は目を細め、その視線に非難の色を込めて妹を見る。彼女たちは“夜の一族”、人よりも優れるが故に、危機管理には気を配らなければならない。
今回は自分たちの敷地内の行動だったから良かったが、今後も連絡もなしに勝手に危ないかもしれない場所に行かれるのは、忍にとってとても迷惑のかかる事だった。
「いいわ、これから気をつけてね。それで、彼の事だけど、おかしい事……、いいえ、ちぐはぐな事だらけだわ」
ちぐはぐ、と言いなおす忍。彼女から見た彼はちぐはぐな事だらけだった。
まず、今の日本は平和なはずなのに、死にかけるほどの重症を負っていること。そんな傷は自分たち一族や、知り合いの一家のような特殊な事情がない限りありえないだろう。
次に彼の服装。大柄ではあるが、彼は妹と同年代にしか見えない彼の着ている服はあまりにも大きかった。
だが、これらはまだいい。問題は・・・
「彼の持っていた携帯電話。見た目は今のものと似てない事もないけど、明らかにこの時代のものではないわ。それにこの【悪魔召喚アプリ】って代物。どこから来たのかは知らないけど、“未来”じゃあこんなものが流行っているのかもしれないわね。」
手に持つ少年の持っていた緑色の携帯電話をいじりながら、忍はそう言った。
今は彼女の手の中にある、少年の持っていた携帯電話。それに忍は驚嘆した。それは優れた技術にではない。驚いたのは、その技術が既存の技術を積み重ねていったらたどり着くであろうことが予想されることに、である。
やがて出来るだろう、でも今は作る事の出来ない技術で作りだされた携帯電話。忍には、これはいずれ辿り着くだろう“未来”の可能性の一つの形に見えた。
「へぇ、確かに変わった形だね。」
「ちょっとすずか、まだ分からない事だらけなんだから、あんまり下手にいじると」
「えっ・・・。お、おねえちゃん!!」
突然忍の手の中で光り出す携帯電話。忍とすずかはその事に驚きなんとか光を停めようと携帯をいじろうとするが、その光は更に輝きを増し、対応する暇を与えない。
光の洪水の前に、姉妹は抵抗する事を諦め手で光を顔からさえぎった。
初めは激しかった光が段々と薄れていくのが手をすり抜けて見える光の量から分かる。時間にして2、3秒ほどだろうか、光の濁流が充分に弱まるのを感じ、手を顔からはなすと
目の前には、一人の少女がいた。
腰のあたりまで伸びたつややかな黒髪に、少女のような可憐さと、大人の女性の妖艶さが併存する非常に整った顔立ち。女性らしさを十分に備えた肢体を白いレオタードのような衣服につつんでおり、顔
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