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世界はまだ僕達の名前を知らない
決意の章
04th
勝利宣言
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「がぁッ!」

 壁に強く叩き付けられ、前衛兵はそんな音を出した。

 前衛兵に暴行を加えた人物?大黒男は更に彼に歩み寄る。

「くッ」

 その手にはナイフが光っていた。

 前衛兵は応戦せんと腰の剣を抜く。キラリ、とどちらかというと儀礼用だが、何とか実戦に耐えられなくもない程度の剣が光を反射する。

「鈍《なまくら》だなぁ」

 大黒男は前衛兵の剣をそう評した。

「誤ってはいない」

 前衛兵は苦々しそうにそう返した。

「そうかい」

 大黒男は自分で言った癖にそれ程興味が無い様だった。

 さて、と大黒男は思案する。

 物陰に隠れての奇襲で最初の一撃は取れた。が、活かせなかった。思ったより相手の立て直しが早かったのだ。どうやら自分は敵を低く見積っていたらしい。今ああして剣を構える姿も、大黒男からは攻めるのは難しい様に見える。

 なので大黒男は時間を?仲間が到着するまでの時間を稼ぐ事にした。

「知りたいか? 俺達が何故こんな事をしているのか」

「…………話すのか?」

「話そうとも」

 前衛兵が困惑しているのが伝わってくる。が、最後は好奇心が勝ったのか、無言で続きを促してきた。

「じゃあ言うけどな?実の所、俺達にも判らん」

「……………………」

 前衛兵の目がスゥッと、猫か狐かの様に細まる。

「まぁまぁ聴いてくれや。俺達は依頼を請けてここに居る。どっかの誰かさんが俺達に金を払って、俺達にこんな事をさせている訳だ。どっかの誰かは知らない」

 どうだいアンタも? 金払ってみるか? と肩を竦める。前衛兵は無言で考えた後、指を三本立てた。

「はっはー、残念だったな。それっぽちじゃ俺達は寝返らない?訳じゃねぇけどな。悪いが依頼は親を通してくれ、でないと裏切り者扱いされちまう」

 話を戻すぜ? と大黒男。

「で、その依頼主とやらだが、全く何考えているかが知れねぇ。親によるとこれが初めての依頼っつう訳じゃないらしいわな。詰まり俺も知らない所でこんな意味不明な事やらかす奴の言う事を聴いてたって訳さ……おいおい凄むなよ」

 時間稼ぎがバレ始めたのか、前衛兵から怒気が漏れ始める。大黒男はビビりつつ、

「今回の依頼だが、メインはアンタの殺害。そしてその他に『できるだけ派手に』っつうのも有る。俺的には全く動機が見えねぇんだけど、アンタ的には? 衛兵の視点で教えてちょ」

「……国に喧嘩を売っている様に思える」

「はー、成程。そう来るか」

 大黒男は割と本気で感心した。彼には思い付かなかった考えである。

「その後は? 何で喧嘩売ろうとしてるのかとかは?」

「知らん。貴様、時間を稼いでいるな
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