決意の章
04th
結論
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結局『近道をしようと路地裏に入ったら迷ってしまい、途方に暮れている所で白女とその仲間を見付け、彼女達が話しているのを盗み聴いた』という事になった。最初の導入は虚偽だが、他は事実である。
後半を真実その侭にしたのは次に繋げる為だ。『しかしバレてしまい、白女に追い掛けられ表通りに出る寸前で捕まってしまった』。意識を失う直前に知覚した状況から、衛兵達は白女の姿を見ていると思われる。犯人が彼女達だと伝えるには、自分をやった奴がそうなんです〜と言うのが一番いいと思ったのだ。
しかし右衛兵は怪訝そうに、
「君を襲っていたのは白い服を着た女じゃなくて、ガラの悪い男じゃなかったっけ?」
と尋ねた。
「……………………」
あれれ? 可怪しいぞ?
トイレ男の記憶では確かにアレは白女だった。白女がトイレ男を追い回し、その果てに彼を捕まえたのである。忘れる筈は疎か見間違える筈すらも無い。にも関わらず右衛兵は彼を捕まえたのはガラの悪い巨漢であるという。トイレ男を保護した衛兵から直接聴いた話だから間違いは無いそうだ。「…………」、あれ?
トイレ男は暫く考えて、前々回に白女と会った時を思い出した。あの時、トイレ男は初め白女が居ると気付かなかった。あんなにも目立つ白い服を着ているにも関わらず、だ。少しの思考の結果、白女の能力は相手の感覚を封じるという物ではなく、相手の感覚に影響を及ぼすという物ではなかろうか? という事になった。それならばトイレ男が白女に気付かなかったのも、衛兵達が白女を見間違えたのも納得がいく。前者は彼女が気にならない様に、後者は白女の姿を別人の物にする様にトイレ男や衛兵達の感覚を操ったのだろう。
理屈は判った……理屈の理屈は判らないが、理屈は判った。だが、トイレ男は行き詰まっていた。
「どうしたの?」
考え込んだトイレ男に右衛兵が問い掛ける。
そう。トイレ男は事実……衛兵達にとって明らかである事実に矛盾した。彼らからすればトイレ男が嘘を吐いたとしか思えない矛盾である。この矛盾は衛兵達からの信頼を削ぐに相応しい矛盾だ。
「……………………」
蒼褪めた。
「…………そちらにとって、そちらを襲ったのは白い服を着た女であるという事は確信が持てる事なのか?」
前衛兵のその問いに、トイレ男は少し考え込んだ。そしてその結果ここで変に意見を変える方が信頼を落とし兼ねないと判断し、頷いた。
「……………………」
「…………支部長」
「……彼も混乱しているのだろう。一応、彼を保護した衛兵を連れてきてくれ」
「了解です」
右衛兵が敬礼の後退室した。前衛兵の言葉を聴いて、トイレ男は更に蒼褪め
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