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世界はまだ僕達の名前を知らない
決意の章
04th
君を信じない
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率は格段に下がり、逆に命を喪う可能性は大きく上がる。にも関わらず目の前の人物が自分をそんな所に追い遣ろうとした理由が気になった。

 黒男の問いに相手は、

「思っていたよりも衛兵が警戒した様子が無い。例の奴が衛兵に言わなかったか、言ったが衛兵が信じなかったか、或いはそもそも例の奴が聴いていなかったのどれかだろう。それならば別に支障は無かろう?」

「……それなら、まぁ」

 相手が警戒していないのならば奇襲は成立する。こちらを釣る為に敢えて無警戒を装っているのかも知れないが、それでも完全に無警戒にするのは難しいものだ。人間、襲撃が有ると判っていれば見張りを増やさずには居られないものである。それすら無いというのなら、少なくとも衛兵には情報は漏れていないのかも知れない。

「納得したか?」

「あぁ、解ったよ。俺、ディグリー、ペテル、アーニ、白姉のほぼ総戦力で行くんだな」

「そうだ」

「御褒美待ってるぜ。結構な額なんだろ? 寝れると思ってたのに働かされるんだから、普段よりは貰えるだろ?」

 やってやるから多めに金を寄越せ。

 そう言った黒男に、相手は少々眉を顰めた。

「……考えておく」

 それはとても信用できなかった。後で何事も無かったかの様に振る舞われるのがオチだ。

「断言しろ」

「…………解った、いつもより多めにしておこう」

「どんぐらいだ?」

 以前ここまでは言わせたものの雀の涙程しか増えて無かった事が有るのでまだまだ油断はできなかった。

「……………………一()増し」

「一割」

「……………………二分」

「一割」

「……………………二分五厘」

「一割」

「…………三分だ。これ以上は厳しい」

「四分な。忘れんなよ」

 はぁ、と相手が重い溜息を吐いた。

 ここまで行けば大丈夫だろう。黒男は増額分の使い道にワクワクと思いを馳せながら、仲間を呼びに言ったのであった。
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