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世界はまだ僕達の名前を知らない
決意の章
04th
君を信じない
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………反論は、無いな」

 結局、妙案が見付かる前にタイムアップとなってしまった。

「……………………」

 マズい。

 衛兵が味方に付いてくれないとなると、襲撃に対応する事などとてもできない。いや、そもそも対応なんてできるのか? 白女や黒女に対し、幾ら警戒をしていた所で無駄ではないか? 結局多くの衛兵が倒れ伏す事になるのなら、自分の身を最優先に行動するのがよいのではないか?

 考えがブレ始める。

「……………………」

「……但し」

 トイレ男が紙に何も書き込もうとしないのを見て、前衛兵は口を開いた。

「そちらが頭の可怪しい狂人でない限り、あの様な事を言う必要は無い。という訳で君がその話を聴いた時の詳細を教えて欲しい」

「……………………」

 どうやらまだ衛兵を味方にできる目は残っている様だ。

 トイレ男は頷き、紙にペンを走らせる。

 時々思い出すフリをして考え込んだのは言うまでもない。



      ???



「へ? 親父マジ?」

「マジだ」

 その言葉に男はポリポリと後頭部を掻いた。

 黒い服を着た男だ。背はそれ程高くなく、童顔も相俟って子供に見えなくもない男だ。

「考え直さね?」

「直さない」

 どうやら相手は既に意志を決めた様だった。

「……どうしても?」

「どうしてもだ」

 黒男はスぅーと息を吐いた。こうなったら相手はもう絶対に意見を曲げない。長年一緒に居るからそんな事を知っていた。

「やっぱり……」

 しかしそれでも食い下がってしまうのは、彼が今日はもうやる事無いぞと寝る気満々であったからであろう。仲間のミスに感謝してみたものだが、糠喜びであったと判った今やはりミスは赦さねぇと思っていた。

(くど)いぞ。序での方は今回は諦めるから、お前、ディグリー、ペテル、アーニ、白で行ってこい」

「え、白姉も?」

「そうだ」

 黒男は首を傾げる。白姉といえば今回ミスをした奴だ。夕方、皆が作戦の配置に着き始めた頃に一般人に仲間と話しているのを聴かれたかも知れずその上にその人間を逃がすという結構致命的なミスをしたのだが。

「……ったーよ。じゃぁ作戦の一部が漏れててもやる理由を教えてくれ」

 黒男はその辺りは訊かない事にした。黒男と白姉では立場が違うのである。きっと二人の間で大人の対話が有ったのだろう。それは黒男が気にする事ではないし、気にしようとも思わないし、気にしたくもない。

 しかしそれでも決行というのは気が進まない。寝る直前であったという事を差し引いても、元々作戦は奇襲の上で行われる予定であったのだ。相手に知られれば奇襲は奇襲ではなくなる。なので成功
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