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世界はまだ僕達の名前を知らない
決意の章
04th
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 心配になった。

 そうこうしている内に右衛兵が戻ってくる。手にはちゃんと紙とペンが。トイレ男はちゃんとそれを受け取り、サラサラと文字を書いてゆく。

【僕は喋れません】

「……!? あ、あー、そういう事ね。あー、うん、何か色々と納得行ったよ」

 この情報は右衛兵に大きな衝撃を齎したが、それに続く納得感のお陰ですんなりと受け容れられた様だ。

「うーん、じゃぁ取り敢えず自己紹介をお願いできる?」

【名前はツァーヴァス。男。トイレが好き】

「…………うん、解ったよツァーヴァスくん。僕はアルトー。宜しくね」

 何だか最重要である最後の情報を見なかった事にされた様だが、差し出された手は握っておいた。「…………」、ばっちいとはと思わなかったのだろうか?

「何個か訊きたい事が有るんだけど、先ずはさっきの事に就いて訊いていいかな?」

 さっきの事、というとトイレ男が暴れ回った事だろう。

 トイレ男はどう答えたものか少し考えてから、

【ここって襲撃されたりしました?】

「? し、してないけど?」

 質問に質問で返され右衛兵が困惑している。その質問の内容も可怪しな物であったのだから当然だ。

 トイレ男は右衛兵の答えとその様子から、彼が記憶を取り戻している可能性は限り無く低いと感じた。そしてそれはそれとして何故自分が思い出したのかという疑念が生まれる。

 だが、それは後回し。先にこの事を警告しておく必要が有る。

【ここが襲撃される可能性が有ります】



      ???



 情報源(ソース)は? とすぅっと細い目をした右衛兵に問われ、トイレ男はたじろいだ。何も考えてなかった。

 自分が時間を巻き戻った事を話そうとも思ったが、若し自分がそんな事を言われてもとても信じられないので止めた。そんな事を言ってしまえばトイレ男は右衛兵の中で変人、それこそ信じるに値しない妄言を言い触らす様な変人という事になってしまう。襲撃の脅威が現実の物として存在する今、それは避けたかった。

【路地裏でその様な話を聴きました】

 なので適当に丁稚上げた。まぁ、襲撃犯である白女と黒女の会話を聴いたのだから完全に間違いという訳でもない。

「……ふむ…………」

 右衛兵はトイレ男の答えを見て思案する素振りを見せた。

「人数は? 時間は?」

【最低二人、今夜。……因みに僕どのぐらい寝てました?】

「君が寝ていたのは、合計で大鍋一杯の水が三回沸かせるぐらいかな」

 結構寝ていた。前回前々回に襲撃が有った時刻は疾うに過ぎているだろう。「…………」。本当に襲撃は有るのだろうか? 今回はもう無いのではないだろうか? 少し不安になった。

「そ
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