決意の章
04th
迷宮
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馬鹿だから喋れないんだー!!」
「お前阿呆なのか? 阿呆だからトイレなんか持ってるんだー!!」
「お前間抜けなのか? 間抜けだからおぇええぇー!!」
等と通り掛かりの人々が眉を顰める様な事を言い散らし、果てには、
「汚い奴は路地裏にでも居ろよ!」
「そーだそーだ!!」
「おぇええぇー!!」
と路地裏に蹴り込まれてしまった。
「ぎゃー! 靴の上から汚ぇの触っちまったー!」「うわ! きったね近寄ってくんな!!」「嫌だね! とりゃあーーーー!!!!」「うぎゃぁぁぁぁああああ」「おぇええぇー!!」と騒がしく走り去ってゆくクソガキ共の背中を見ながら、トイレ男は思った。
あんな奴らにはもう会いたくないから、人の少ない路地裏に居よう、と。
という訳でトイレ男は路地裏を歩き回る事にした。じっとしてるのも暇だし。
路地裏は冷たかった。日が沈んできているのもあるのだろう、全体が建物の影の中に有る。詰まり暗かった。端の方にはゴミが散乱しており、成程これは汚いなと思いつつ奥へ奥へと進んでゆく。
「……………………」
三〇〇歩程歩いた所で人の気配を感じた。
「…………ひうぃっく」
その人は壁に凭れ掛かり座り込んでいた。手には酒瓶。頬を紅潮させ、ニヤニヤと虚空を見詰めている。酔っ払いのおっさんだった。「…………」、とてもお近付きになろうとなんて思えなかったのでススッと離れた。
何となぁーく、ここがそういう|場所なんだろうなと当たりが付いた。
この侭ではあのクソガキ共よりも酷い奴らに会い兼ねない。そう思ったトイレ男は路地裏から脱出し表通りに戻る事を望んだ。
が、悲しいかな。トイレ男はここまでどうやって来たか、どの角をどの方向に曲がり或いはスルーしたのかなんて殆ど憶えていないのであった。
「……………………」
空を見る。まだ青い。が、影は高い?建物の影が、その向かいの同じぐらいの高さの建物の三分の二ぐらいまである。既に日は沈み掛けだ。早い事ここを出ないと真っ暗になってしまう。真っ暗になれば道が見えない。脱出により手間取る事になり、その分嫌な奴に出会う確率も上がる。
トイレ男は朧気な記憶を頼りに来た道を戻った。だが、案の定行き止まりに打つかる。「…………」、どこで間違えたかなんて判りやしない。
トイレ男は少し前の自分の決断を後悔し、あの時の自分を恨みつつ手当たり次第に角を曲がっていった。
似た様な景色がずっと続いている所為で、どの方向に曲がっても既視感が有る。どの方向に進んでも違いは無い様に思えた。なので、勘で曲がる方向を決めた。記憶は頼りにならないのだ、ならば頼る物は信憑性
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