第三部 1979年
新元素争奪戦
バーナード星爆破指令 その4
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7年に、当時のスティーヴン・マヌーチン財務長官が訪問して確認している。
1930年代の設置以来、3度目の外部監査で、43年ぶりの外部公開で、2度目の財務長官訪問であった。
作中の時間軸である1980年代は一切外部に公開されていないので、この様な表記にした)
「偽物かどうかの話は置いといて、ドイツの金保有量は3400トンなのは事実よ。
その気になれば、日本の様に米国債を売るような真似をしなくても、何時でも資金調達できるわ」
金の保有率が高まれば、米ドルに依存しない体制が構築できる。
この様な効果を狙って、現代でも露や中印などが金の大量購入を進めている。
「米国、ソ連に並ぶ超大国というわけね」
この時代のソ連は、2500トンの金を保有していた。
その他に東欧諸国から強制的に預かっていた金塊やスペイン内戦の混乱を通じて持ち出した500トンの金塊を保有していたとされる。
なお、ソ連崩壊後に確認したところ、1992年時点で250トンまで目減りしていた。
ロシア国民は急激な金の減少を、金でトイレットペーパーを買ったと噂するほどだった。
この時代の中国は貧しく、現在のように2000トン以上の金塊を保有することになるとは信じられていなかった。
「周辺諸国と世界から西ドイツが恐れられている理由が分かるでしょう」
マサキはふてぶてしく笑うと、吐き捨てるように言った。
「米国の経済植民地である、日本とは大違いだな」
「不愉快な事実ね」
マサキは、笑みを消して答えた。
「まあ所詮は、敗戦国だしな」
マサキは煙草をもみ消しながら思った。
ゲーレンが金準備高の話をしたという事は、米国に対して西ドイツはある程度独立を保つ政策を行うという暗示ではないだろうか。
翻って、今の日本はどうだろう。
この異世界の日本は、武家という中世のシステムを残しながら、経済的には米国の反植民地状態。
まず世界征服をするにしても、ゼオライマーを安全に整備する拠点が必要だ。
今の日本ではその点も怪しい。
やはり、現政権を打倒する為には、皇道派のような思想集団を作るしかないのか
マサキは、光菱重工業の若い整備士や陸軍航空隊の特務将校らを見ながら、思った。
そうか、俺はこの若い連中に、俺が若いころ味わったような苦い経験をさせるしかないのか……
木原マサキという男は、そういう星の元に生まれたのだろう。
自虐的な事を考えながら、マサキはその場を遠ざかっていく。
咥えたホープに火をつけて、マサキはつぶやいた。
「日本を獲らなきゃ……、世界は獲れない」
マサキは暮れていく小牧の街を、管制塔から眺めていた。
その黄昏は、何時もより長く感じられた。
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