第一章
[2]次話
空の社
出雲大社は非常に独特な社である、それはただ歴史があり神無月には神々が集まるからではない。
その社を見てだ、ラフカディオ=ハーンは仰天して言った。
「こんなものがあるとは」
「驚かれましたか」
「はい」
案内してくれた日本人にその驚愕している顔で答えた。
「まことに」
「古い大社ですが」
「まるで」
ハーンは言った。
「空に進む様な」
「そう言われますか」
「この世にこうしたものがあるとは」
その高い社を見て言うのだった。
「思いませんでした」
「そうなのですね」
「他の国にはありません」
ハーンはこうも言った。
「こうした場所は。神聖でありそして」
「そして?」
「幻想的ですらあります」
「この世にはない様な」
「そう言うしかない」
まさにというのだ。
「素晴らしいものです」
「そこまで言われるとは」
「いえ、まことにです」
ハーンは真剣な顔で話した。
「こうしたものはです」
「他の国にはないのですね」
「欧州でもアジアでも」
「アメリカでもですか」
「遺跡に。アステカやインカの遺跡でもです」
こういったものでもというのだ。
「とてもです」
「ないですか」
「はい」
まさにというのだ。
「これは」
「そうなのですね」
「木造でも石造りでも」
木造の社を見つつ話す。
「どちらでも。空中に浮かぶ様ではないですか」
「そう言われますと」
案内する彼も否定しなかった。
「左様ですね」
「そうですね、実にです」
「幻想的な」
「素晴らしいものです」
こう言うのだった、そしてだった。
ハーンはその社をさらに見た、そのうえでさらに言った。
「こうしたものが古くからありますね」
「はい、建て替えつつ」
案内役はまさにと答えた。
「あります」
「技術的にも素晴らしいです」
こうも言って賞賛した。
「これは。それに」
「それに?」
「神を感じます」
「キリスト教の神ではないですね」
「勿論です」
ここでも真剣な顔で言う。
「日本の神々です」
「確かキリスト教は」
案内役はハーンが欧州の者であることから言った、欧州の信仰はキリスト教以外は存在しないからだ。
「他の信仰を認めないですね」
「神は唯一です」
ハーンもそうだと答えた。
「まさに」
「左様ですね」
「ですが私は今です」
「日本の神を感じられましたか」
「神々を」
こう答えた。
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