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好色一代男は死なず
第二章

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「どうせあっちでもな」
「遊びを楽しんで」
「それで死なへん」
「死ぬとしたら他のことで、ですね」
「何で死ぬかわからんが」
 それでもというのだ。
「少なくともおなごおのこでや」
「死なへんですか」
「絶対にな、どうせ今頃な」 
 杯で酒を飲みつつ話した。
「あっちの遊郭でな」
「おなごを楽しんでますわ」
「うはうは言うてな」
「そうですか」
「あっちに行って五年か」
「その五年の間ですね」
「遊んでるわ」
「ずっとですね」
「その筈や」 
 こう言ってだった。
 助平は自分が指名した女の準備が出来たと聞いてそっちに行った、若い男も彼は彼で相手の女のところに行った。
 その頃世之介はというと。
 助平の言った通りだ、来る日も来る日も女護ヶ島の女達と楽しんでいた、この島は何と世界仲から美女しかも美男が集まっていてだった。
 彼は世界中の美女美男と楽しんでいた、そして島に共に来た者達に語った。
「ここは極楽や」
「あの、確か還暦になって」
「そっちが衰えて来た」
「そう言ってませんでしたか」
「確か」
「それがな」
 仲間達に葡萄の紅の酒をギャマンの杯で飲みつつ話した。
「ちゃうねん、色々おなごがおるやろ」
「本朝以外のおなごもな」
「勿論本朝のおなごも多いが」
「ここはそやな」
「天下のおなごが集まってるわ」
「それも色々な時代の。そやからな」
 だからだというのだ。
「もうわしの息子がいつもや」
「元気でか」
「それでしゃあなくてか」
「遊んでるんやな」
「そや、しかも食いものも飲みものも精がつくもんばかりで」
 大蒜が利いた肉料理を食べつつ言った。
「毎日朝から晩まで出来るわ」
「昨日は仏蘭西のおなごと楽しんだな」
「その前は清で」
「天竺や波斯のおなごもで」
「羅馬のおなごともな」
「このまえナポリとかいうとこのおなごと楽しんだけどや」 
 世之介は笑って話した。
「これがまたよおて」
「また行くか」
「そうするか」
「そやねんな」
「それで今度カリブとかいうとこの娼館に行ってな」
 そうしてというのだ。
「そのうえでや」
「そこでも楽しむか」
「何か土耳古のハーレムにも行くと言うてたが」
「カリブの方もか」
「亜米利加とかいうとこのスーとかのおなごもええし」
 葡萄の酒を飲みつつ如何にも助平そうな笑顔で話した。
「肌の黒いな」
「阿弗利加とかいうな」
「そこから来たおなごもええな」
「そやねんな」
「おのこもな、こんな楽しい場所ないわ」
 満面の笑顔で話した。
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