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世界はまだ僕達の名前を知らない
決意の章
02nd

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論を聴け、世界《エウレカ》。石の塊たる流星、地を穿つ。石の塊たるこの石礫、如何にかあの女を穿つべからざるや?」

 黒女がこう言えば、投げられた石は(たちま)ちその速度を大きく増した。

「ッ!!」

 壁に打ち付けられ、回避行動の取れない巨女は右手で石を払った。手の甲が抉れ、血が噴出する。並大抵の筋力では?それこそ巨女の筋肉を以てしても有り得ぬ威力に巨女は瞠目する。石はその侭彼女の手を貫通したが、方向がズレたお陰で頭には当たらずその直ぐ横に着弾した。壁に穴が空く。

「化け物め!」

 巨女は歯を食い縛り右手の痛みに耐えた。壁から離れ、握る事もできなくなった右のではなく左の拳で以て黒女を殴らんと突撃する。

 自分でも笑いたくなる程ワンパターンな攻撃だが、現状彼女にできる攻撃はこれだけなのであった。謎の言葉で訳の判らぬ術を使うこの女を置いて逃走する事など、巨女にしてみれば有り得ない事だったのだ。この女から目を離して一般人が傷付くよりは、自分が傷付く。巨女はナチュラルにそれを選べてしまう人間だった。

 黒女は既に一度見た攻撃を簡単に見切り、背後に避ける。避けながら、

我が論を聴け、世界(エウレカ)。鳥飛ぶ。如何に我飛ぶべからざるや?」

 などと宣い宙に浮いた。

「このぉっ!」

 攻撃が空振った巨女は無理矢理体勢を立て直し、拳を振り上げて黒女を殴ろうとする。しかし黒女は巨女の拳が届かぬ高さまで飛び、難無く避けてしまった。

「これで終わらせる。我が論を聴け、世界(エウレカ)

 巨女も流石に黒女がこう言えばまた訳の解らぬ事が起きると判っていた。

 判っているが、何が起こるのかは全く想像が付かなかった。せめて身は守ろうと頭を腕で隠す。

「岩墜ちども潰れず、墜つれば地窪ます。如何にか我墜つれば潰れ、墜ちども地窪まざるや?」

 丁度巨女の真上に居た黒女は、そう言った。

 そして墜ちて?

「?ぐぁっ」

 ?巨女を潰し、その上から地にクレーターを作った。

 巨女の骨という骨が折れ、肉という肉が千切れ、内蔵という内臓が爆ぜる。辺りに血肉を撒き散らし無惨な死体?服に包まれた肉と骨と皮の塊となって、巨女は絶命した。

 一方のそれを為した黒女は涼しい様子で、巨女の上を離れた。

「全く、只の筋肉塊の癖して思ったよりも強いんだから……最初っから、上の方から一方的にやっとけばよかった。あぁ、靴が汚れてしまった……新しいの買わないと。ハインツ!」

「あいあいったよぉ。全くいつ見てもバケモンだなおめぇ」

 縛られた侭放置されていたやさぐれ男が立ち上がる。いつの間にかロープは解かれていた。

「この女縛り慣れてる上に力強いから結び目がキツい。解くの
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