真・体調伝
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残りの一つは向こうが切札を切らないと使えない以上、体調に打つ手は無い。
「ウクッ……」
?邪気眼が生きていれば、と何度思った事か。
自分の為に死なせておいて酷いとは思うが、それでも。
右眼に封印を、左眼に発射口を感じるだけで、どれ程心強く感じられるか。
「えいっ!」
「うがあっ!」
強かに顎を打たれた。脳が、震える。体調は突如として〇テルギウスに憑依され?ではなく、物理的に震えたのだ。所謂脳震盪である。
「うりゃ!」
「うげひっ!」
強かに胸を突かれた。何か大事な事に気付いた?のではなく、物理的にだ。すんごく痛い。
「雑ァ魚雑ァ魚!」
「ゾクゾクッ……!?!?」
辛辣な言葉に胸を刺された。物理的にだ。プリ〇ツを、胸に挿入されてしまった。体調の胸の処女は、もう戻らない。
既に、体調はボロボロだった。
「……………………」
既に立っている事すら難しい。よろよろと千鳥足で繰り出される攻撃はどれも稚拙で、回避受けどころかカウンターすらも簡単だ。
体調の勝ち目は唯一つ。
千夜都が、切札を切る事だけ。
しかし、どうして千夜都が今のちょんと突いてしまうだけで死んでしまいそうな彼に切札を切れるだろうか(反語)。
「……………………」
「…………あの、ここで負けられると、私の気不味さが半端無いのだけれど」
千夜都の微妙そうな声も、体調には届かない。
彼の生命力は、既に耳に割く余力が無い程にまで消耗している。
「……………………」
いや、その言い方は正確ではない。
『耳に割く余力』ではなく『動く余力』だ。彼はもう、真面に動く事すら侭ならない。
「……………………」
やり過ぎた、と千夜都は閉口した。
生物学的に命を喪う事は無いだろうが?それでも、彼の体調としての命は喪ってしまうも同然だろう。一体どうすれば……と千夜都が焦り出した時。
「?貴方!」
そんな、二人称が聞こえた。
誰、などと迷う筈も無い。
「部下!?」
「貴方!! ?頑張ってください!!!!」
驚愕する千夜都を他所に、部下は体調へ声を掛け続ける。
「負けないでください! 勝ってください、貴方!! ?勝って、帰ってきてください!!!!」
?想いは、いつだって、力だ。
そして、力は空気を通して伝わる訳ではない。
?想いは、胸から胸へと、直接伝わる。
「……ぉ、ぉお…………」
体調の声帯が動き始める。
だらんと下がった侭止まっていた腕が、上がる。
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