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冷凍食品も侮れない
第一章

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                冷凍食品も侮れない
 美味い中華料理店を営んでいる王賢太郎は自分の料理の腕に自信がある、そして中華料理は店で作るものと思っていたが。
 食品会社に就職した次男の親知が実家に帰った時に彼と長男で店を継ぐ為に父と一緒に店で働いている親茂に話した、三人共丸い口と愛で面長で太い眉があり黒髪は短い。背は一七五位で痩せている。よく見れば父の顔には皺が多く兄には少し白髪がある。
「うち今度冷凍食品で中華の新商品を出すんだけれど」
「試食して欲しいのか?」 
 兄が弟に問うた。
「俺達に」
「ああ、そうしてくれないか?」
 兄にまさにと答えた。
「今からな」
「冷凍食品だとな」
 今度は父が言ってきた。
「やっぱりな」
「店で作ったものには勝てないか」
「そうだろ」 
 こう自分の次男に告げた。
「やっぱりな」
「いや、そうでもないよ」 
 だが親知は父のその言葉を否定した。
「これは俺が働いているからじゃなくて」
「贔屓目じゃないか」
「実際食ってみるとな」
 そうしてみると、というのだ。
「馬鹿に出来ないんだよ」
「美味いのか」
「ああ」
 そうだというのだ。
「それでうちの新商品もな」
「美味いんだな」
「会社の中で試食しても評判で俺もいいと思うし」 
 それでというのだ。
「プロにも美味いって言ってもらうとな」
「本物か」
「ああ、だからな」
 それでというのだ。
「食ってくれるか」
「親父、食ってみるか」
 親茂は弟の真面目な言葉を聞いてそれならとなりだ、父にこう言った。
「金は取らないっていうしな」
「それでか」
「ああ、親知もどうしてもっていうし」
「食ってみるか」
「そうしてみるか」
「そうだな、毒が入っている訳でもないしな」
 父もそれならと頷いた。
「食ってみるか」
「ああ、そうしてみような」
「それならな」 
 父も頷いた、そうしてだった。
 その冷凍のラーメンに炒飯、蒸し餃子や焼売を三人で食べてみた。当然電子レンジを使ったり簡単に煮たりした。
 そのうえで家の中で食べるとだ、これが。
「いけるな」
「そうだよな」
 賢太郎も親茂も言った。
「これが」
「ラーメンも炒飯もな」
「蒸し餃子も焼売もな」
「そうだろ、そりゃな」 
 親知も食べつつ言ってきた。
「うちの店の味には負けるかも知れないがな」
「いや、かなりだ」
 賢太郎も認めることだった。
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