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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
激闘編
第百四話 可能性
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帝国暦486年7月22日13:15
ヴァルハラ星系外縁部、銀河帝国、銀河帝国軍、宇宙艦隊総旗艦ヴィルヘルミナ
グレゴール・フォン・ミュッケンベルガー

 「お目覚めですか閣下。当艦隊は明日予定通りオーディンに到着します」
「そうか。艦隊は異常ないか」
「はい。当艦隊には異常はありませんが、辺境にて我が軍と叛乱軍が睨み合いを続けております」
「何だと…何故今まで起こさなかったのだ」
副官のツィンマーマン中佐は沈着冷静、目先の利く几帳面な男だ。報告を忘れていた訳ではあるまい。グライフスあたりに止められていたのだろう。
「総参謀長のご判断により報告を止められておりました。先ずはお身体を治すのが先決、余計な心配はかけるなと…」 
「ふむ…」
「ですが、オーディン帰着にあたり何の情報もお入れしないのもどうかと思い…軍医大佐殿よりお目覚めと聞きましたので、総参謀長の許可を得て報告にあがった次第であります」
ツィンマーマンは言い終わるが早いか、コンソールを操作し始めた。表示されたのは辺境…ヴィーレンシュタインからアムリッツァにまたがる宙域の概略図だった。

 「フェルブュンデテ…ああ、有志連合か」
「はい。彼等は現在もヴィーレンシュタインにて待機しております。一度ミューゼル副司令長官が援軍の打診を行いましたが、拒否されたと」
「拒否…では実際に叛乱軍と睨み合っているのはミューゼル軍のみという事か」
「はい。睨み合い自体は八日前後から始まっており…」
ツィンマーマンは再びコンソールを操作し始めた。概略図が動き出し、戦況が映し出される…ふむ…叛乱軍の増援が現れなければミューゼルの勝利だなこれは…よく軍を退いたものだ。

 「どうやら叛乱軍に大規模な援軍が存在する様です。報告を受けた統帥本部総長は二個艦隊の増派を決定され、宇宙艦隊司令部は総参謀長の代理権限により、ケルトリング艦隊、ドライゼ艦隊を援軍として派出する事を決定しました。尚、両艦隊は昨日オーディンを発っております」
「総参謀長の代理権限…儂の代わりは立てておらんのだな…今日は何日だ」
理由は判る。おそらく儂が倒れた件についても箝口令が敷かれているのだろう。
「七月二十二日であります」
一度目覚めてから二週間以上も寝ておったとは…儂の疑問を察したのだろう、ツィンマーマンが先を続けた。
「閣下の代理につきましてはミューゼル副司令長官に決まりかけましたが、代理を立てる事自体が変事の発生を周知する事になる…と幕僚副総監が進言され、軍務尚書ならびに統帥本部総長はこの進言を採用なされました…これはミューゼル副司令長官の前線指揮に影響を及ぼさぬ為と、有志連合軍への警戒の為でもあります。その為、当艦隊も予定を変更する事なく帰途についております」

 いい判断だ…儂が倒れた事を有志連
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