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ロバの幸せ
第一章

[2]次話
                ロバの幸せ
 カナダブリティッシュコロンビア州にあるとある動物保護施設にイーヨーという灰色の毛の雄のロバがいた。
 その彼を見てだ、施設に来た州の職員は悲しそうな顔で話した。
「とても寂しそうですね」
「はい、飼い主が亡くなってこちらに保護されたんですが」
 施設の代表であるミシェル=シングルトン大柄な身体で四角い顔にグレーの瞳を持ち眼鏡をかけた短いブロンドの髪の彼は答えた。
「唯一の家族を失ってこちらに来て」
「孤独なんですね」
「ロバは群れで生きる生きものですから」
「尚更ですね」
「寂しい思いをしています」
「そうですか」
「それで今度せめてもと思いまして」
 それでというのだ。
「遊び相手にヨガボールをやるつもりです」
「それもいいですね」
 職員はイーヨーを見つつ答えた。
「このままではあまりにも可哀想です」
「孤独なので」
「宜しくお願いします」
「そうしてみます」
 シングルトンは職員に約束した、そして実際にだった。
 そうしてみるとだ、これがだった。
「ヒヒン」
「いつもボールで遊んで、ですね」
「ご覧の通りです」
 シングルトンは再び施設に来た職員にボールで遊ぶイーヨーを見せつつ話した。
「楽しんでくれて」
「それで、ですね」
「孤独でなくなりました」
「それは何よりですね」
「しかもです」
 さらに話した。
「実は名前が変わりまして」
「イーヨーからですか」
「それは前の家にいた時の名前でしたので」
「新しい一生を送る為に変えたのですね」
「そうです、アール=グレイとです」
 その様にというのだ。
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