第三部 1979年
新元素争奪戦
バーナード星爆破指令 その1
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脚以降、核弾頭の物理的な管理は戦略ロケット軍や陸海軍が個別に行ったが、核関連施設の運営や計画は特別部が引き続き行った。
軍から独立した指揮系統で、核使用に対し、統制を聞かせていた面がある。
KGBはソ連の核科学者を早い段階から育成し、またそれに見合う報酬や社会的地位を与えていた。
だが、サハロフ博士のように自由を求める人物に関しては、徹底的に妨害した。
サハロフ博士のノーベル賞受賞以後、彼はアンドロポフ長官から徹底的にマークされ、最終的にゴーリキー市に無期限の流刑を命ぜられた。
恩赦が認めらえたのは、アンドロポフがなくなって2年後の事であった。
宇宙怪獣の侵略を受けた異界では、結果的にサハロフ博士は流刑を免れていた。
マサキによるブレジネフとアンドロポフの暗殺の為である。
知人を通して他国との交流を続けている核物理学者に、ソ連政府はg弾の実情を問いただすべく、呼び寄せたのであった。
「米国では、代替え案として、g元素爆弾の連続投下を行った後、バーナード星系に移住する計画があるとロスアラモスの知人から聞き及んでおります」
KGB長官の言を聞いて、ウスチノフ国防相がつないだ。
「確かに米国にはエドワード・テラーの様なハンガリー野郎がいるからな。
あやつのごとき、水爆気違いの似非学者が出てもおかしくはあるまい」
テラーは米国水爆の父だった。
赤化しつつあったロスアラモスと距離を置き、軍と共に水爆実験成功を導いた人物である。
またサハロフ博士とは違い、2003年に95歳で天寿を全うするまで、水爆の所有が相互確証破壊を維持させ、ソ連の核攻撃を防いだと公言してやまない人物だった。
赤軍参謀総長は、白海運河に火をつける。
GRUの報告から、すでに米国では約30発分のグレイイレブンと呼ばれるG元素爆弾の原材料が準備されているのを知っていた。
だが水爆よりも重量があるので、空輸は難しく、艦艇にも搭載できないことも聞き及んでいた。
そんな仕えぬ兵器よりも、ゼオライマーの秘密を知り、一刻も早くソ連で量産化を進めるべきではないかと考えていた。
一瞬にしてハバロフスクを蒸発させたメイオウ攻撃、500トンの巨体を自裁に移動させることのできる大出力の小型ブースター。
そして何よりも、無限の力を誇る次元連結システム。
マサキがこの異界に登場して2年という時間の中で、男はゼオライマーの存在に魅了された一人だった。
「同志サハロフ博士。
あなたはg元素爆弾をどう思いますか」
サハロフは愛用する古い型の丸眼鏡をはずして、男の方を向いた。
「科学アカデミーに届いたジョンストン島での実験結果をつぶさに見ましたが……
人類には手の余る兵器です」
サハロフの顔色が突然変わった。
血の気が失せ、何かに耐えている表
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