第1章 やって来ました剣と魔法の世界
第5話 二人目の日本人
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かれた状況が理解出来つつ有るのか、最初の頃の妙に余裕を持った対応とは違う雰囲気を発生させながら、才人は俺に対してそう言った。
しかし……。
成るほど。ある程度の適応力と言うモノは持って居るみたいですね、才人くんは。
俺を誘拐しても身代金など出さないぞ、とか、これは拉致事件だ、とか言って騒ぐかと思っていたけど、そこまで現実を見る事の出来ないアホと言う訳ではないですか。
柔軟な思考は持っているみたいですから、危機的状況にも対応出来る要素は持っているのでしょう。
但し、明らかに怪しい召喚円の中に自ら飛び込むようなウッカリモンの要素も持っているみたいですけど。
いや、そう言えば、最初に才人は妙な事を言っていたな。
何故か、その空中に浮かんだ鏡のようなモノを潜らなければならないような気がしたと……。
「せやけど、召喚円を潜って仕舞った責任は有る。俺と違って才人には、そんな怪しい鏡を無視すると言う選択肢が提示されていたと思うから。
それが証拠に、才人を召喚したヴァリエール嬢は何度も使い魔召喚魔法を実行しても、今までは、誰も彼女の呼び掛けに答えてくれる相手はいなかった。
彼女の呼び掛けに応じたのは才人。オマエさんだけや」
確かに、その鏡が召喚円だと知らなかったと言う点は考慮すべきですが、それでも潜って仕舞った以上、その責任は有ると思います。
それに、潜らなければならない、と思ったのは、彼が、無意識の内にルイズの呼び掛けに答えた結果、と言う事なのかも知れませんね。
……あれ、そう言えば、呼び掛けるように召喚魔法を行え、と余計なアドバイスをルイズに対して行ったヤツが居たような気もするのですが。
そいつにも、この結果の責任が有ると言う事なのでしょうか?
「それだったら、元の世界に戻して……って、そう言えば、最初に言っていたな。
帰る方法はないと……」
ようやく、自分の置かれている状況を完全に理解出来たのか、才人からかなり後悔に似た雰囲気が発せられている。そして、
「元の世界に帰る方法はない。俺には、この世界の言葉を話せないから一人で生きて行く事も出来ない。それじゃあ、俺はあの娘の使い魔に成ると言う選択肢しか用意されていないじゃないか」
かなり、怒ったような雰囲気で、才人がそう言う。
そして、それは当然の怒りだと思います。確かに、召喚円を潜って仕舞った責任は才人にも有ります。
ですが、そもそも、こんな乱暴な召喚作業を行う方に、もっと大きな責任が有ると思います。それは、以後の才人の生活の面倒を見るだけでは許される物ではないでしょう。
一人の人間の未来を完全に蹂躙する事になると言う事ですから。
但し、新しい世界での可能性を開いてやる、と言う側面も同時に
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