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ソードアート・オンライン もう一人の主人公の物語
■■SAO編 主人公:マルバ■■
壊れゆく世界◆ユイ――MHCP001
第三十五話 ユイ
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いです、装備フィギュアに武器の欄が存在しません!」
「アイテムとオプションしかメニューにあらわれていない。一体これは……どういう……?」
「名前もおかしい。こんなプレイヤーネーム、普通じゃないわ」
 アスナの言葉に、全員が名前欄を見た。そこには【Yui-MHCP001】という記述が見える。
 ミズキは慌てて先ほどの分厚い本を取り出した。検索機能の窓を開くと、そこにMHCPと入力する。すぐに一件の検索結果が表示された。
「MHCP――メンタルヘルス・カウンセリングプログラム……?」
「どういうこと?」
「まぁ、直訳するなら『精神的健康管理援助計画』だが。ええと、なになに。ふぅむ」
「何か書いてある?」
「いや、これは俺のメモだから合ってるかどうかなんて分かんねぇけどよ、とりあえず書いてあることを要約すると、俺達がこの世界に来る前に研究中だった、精神医療に関する何かだな。詳しいことはさっぱり」
「精神医療? それじゃ、やっぱりユイちゃんは何か障害を抱えてるってこと……?」
「いや、そうだとしてもわざわざそれを名前に書くか?」
「それもそうね……メニューがおかしいのはそれとは無関係だし……。ねぇ、ミズキ君は何か予想がつく? この子が誰なのか」
「いや、分からねぇ。……っつうか、分かる気がしなくもねぇが、納得できる予想じゃねぇ」
「え!? 分かるの!?」
「いや……忘れてくれ。やっぱり分からん。単なる予測だし、そんなもんが当たるとは思えねぇ。突拍子もないからな。……メニューに関する謎は解けるが、それだけだ」
「メニューの謎って一番変なところじゃない!? 分かったんなら教えてよ、私だってこの子のことできるだけ知りたいんだから」
「うー、あー、いいか、これはただの予測だぞ? ユイが、この子が運営側の人間だとしたらどうだ? あるいは、運営公認の人間だとしたら」
「この子が……運営側の……?」
「だけどな、この説明だとおかしい点も多い。そもそも運営がこんな幼い子を使う理由がない。ナーヴギアの年齢制限よりはるかに下だろ?」
「確かに。うーん、やっぱり分からないんじゃないか? とりあえずメニューは開けたんだし、暖かいセーター着せてあげようぜ」
「うん、そうね。……よし、これでオッケー」
「わあ、あったかい! ママ、ありがとう!」
「よしよし。それじゃ行きましょうか」

 一行ははじまりの街の教会に向かって出発した。
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