閑話 月の戦乙女達@
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『蜘蛛の糸』という寓話をご存知だろうか?
簡潔に言えば、カンダタという一人の男が、蜘蛛を救った見返りに、罪により投獄されていた地獄から這い上がるために垂らされた蜘蛛の糸を自分の行為による成果だと独占しようとし、結果としてその浅ましさから一緒に蜘蛛の糸にぶら下がっていた亡者と共に糸ごと落とされるお話。
『他者を貶め、自分だけ助かろうとした者には罰が下る』
なるほど、教訓を込めた寓話として、納得できる話だ。
だから、ここからは言葉遊びの世界だ。
このカンダタとやらが、逆に優しすぎて、地獄の皆に綱を渡して皆天上に上がってしまったら。
それはそれで困らないだろうか?
「という訳で、世界中から恵まれないコーディネーターを取り揃えた、世界樹女士官学校の居心地はどうですか〜?」
「煽り言葉に心が死にそう」
わざわざ古典の『蜘蛛の糸』の紙芝居を出したと思ったら、煽り散らかしたイヴに、心の底からの感想を伝えるジョン。
その横には、オロオロと戸惑う『二人』の女性がいた。
対象的な少女である。
腰まで伸ばした、艷やかな黒髪。
穏やかで整った目鼻立ちは、なるほど、かつて居た日本で言う、『大和撫子』とはかくあるべきという容姿であろう。
……まあ、少々下品な言葉を使うならば、パイロットスーツからも分かる胸部の盛り上がりが、未だ現役であるジョンの劣情をこれでもか、と刺激するのが問題か。
後述する理由のため姓を捨て『ミモリ』とだけ呼ばれる女性である。
もう一名は、反対に、全身でエネルギッシュであることを表しているかのようなスポーティな少女である。
特徴的な桃色の髪色の長髪をポニーテールに束ね、ぴったりのパイロットスーツで、その鍛錬の跡が見られる女性的な丸みと筋肉質な部分が合わさった惠体を見せる彼女は美しかった。
『ミモリ』同様、姓を捨て『ユウナ』とだけ呼ばれる女性である。
さて、現実逃避はやめて話を戻そう。
「すまないな。二人には全く文句はないよ。そもそも、君たちのような魅力的な容姿の女性を口説いておいて、そういった事を口にするバカは死んだ方が良い」
会議の時とは違う、困ったように照れて頬をかくジョンに、今度は逆に二人が赤面する。
その二人の表情に、ジョンは改めて、あの時の選択を肯定した。
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地球連合という組織が、自身の知っている宇宙世紀の地球連邦よりも、更に地域別でバラバラな組織であることは実感していた。
というか、ジョンが初めてモビルスーツを敵に向けたのは、ザフトに寝返ろうとした地球内の連合に対する反乱分子の鎮圧である。実感もくそもなかった。
そして
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