第113話 はじめての哨戒(おつかい)
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を行ったと推測できる。
ただ哨戒隊を文字通り殲滅可能な一〇〇隻前後の戦力で編成される打撃戦隊が確認されていないということは、第三辺境星域管区に対しては攻勢よりも離隔防御を行っていると考えていい。打撃戦隊による掃討よりも哨戒隊を大量展開して、マリネッティの言う通り「脇腹を刺されたくない」よう対応していると推測できる。そうなると問題は……
「敵哨戒隊の士気はいかがでしたか?」
「先に遭遇・戦闘した敵哨戒隊の積極性が異様に高かった。こちらより少ない二八隻で、七隻は確実に仕留めたのに戦うのを辞めなかった。一〇隻目でようやく逃散してくれたが、こちらが弱った直後のタイミングでもう一戦だ」
「……それはまた」
ご愁傷様です、とは言い切れない話。哨戒隊の士気の高さは帝国だろうが同盟だろうが大して変わらない。自分達は「カナリア」だと分かっている。ただ大作戦の序盤となれば中央からの兵員の増援や戦闘物資の支援も見込めるので、より積極的に行動するようになる。それもまたお互い様だ。
しかし最初の交戦相手の指揮官は戦闘狂なのか余程頭がおかしいのか。それとも二つの哨戒隊がバディを組んで、一方が損害覚悟で同盟軍の哨戒隊を削りに来ているのか。そうだとしたら帝国軍の意図が自軍の哨戒隊を磨り潰してでも宙域に潜り込まれたくないという話になる。
「中央でなにかこのあたりを戦場とする大規模会戦があると、貴官は耳にはしているか?」
帝国軍が一星域に分厚い哨戒網を築いているとなれば、逆に同盟軍がパランティアに対して大規模作戦を計画し、その兆候を掴む為の威力偵察、あるいは逆に大規模作戦に先立つ隠密哨戒への妨害を考えてある程度の損失を覚悟する積極的な行動をとっているのではないか。辺境の部隊に何も連絡せず……とそうマリネッティが危惧するのも無理はない。中央の動向に対してもまた、情報には新鮮さが必要だということだろう。
実を言えば原作通り同盟軍中央で、第五次イゼルローン要塞攻略戦が計画されていることを、俺はシトレか聞いている。だがそれは来年の、しかも半年以上先の話だ。作戦前準備行動として威力偵察の命令が下ってもおかしくはない時期ではあるが、第三辺境星域管区の指揮上層部からはなんの話もない。
命令が出ていない以上、中央が辺境に『あえて犠牲を引き受けてもらう』という考えがあるのかもしれない。引き受ける側としてはたまったものではないが、それも戦略的な駆け引きの一つとも言える。地位と任地が生存性を大きく左右するのは、前世地球時代と大して変わりはない。
「統合作戦本部戦略部は三六五日二四時間、日夜関係なく作戦案を提出しているみたいですが、何らかしらの作戦が通ったという噂は聞いてはおりません」
しっかり顔面を操作して応えると、マリネッティも期待していな
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