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ボロディンJr奮戦記〜ある銀河の戦いの記録〜
第113話 はじめての哨戒(おつかい)
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九九のマリネッティだ。第五一補給基地に配属されている。これからよろしく」
「第一〇二四のボロディンです。第五四補給基地に配属しております。よろしくお願いします」

 メインスクリーンではなく司令艦橋にある司令用の通信画面の中で、特徴的な鷲鼻の中佐がいかにも面倒くさいといった表情を浮かべて敬礼している。癖のある赤毛は別な意味で懐かしさを感じるが、こちらは男性。その容姿と名前の一致から言えば、おそらく原作で同盟末期ランテマリオ星域会戦とマル・アデッタ星域会戦で、戦艦ロスタムに座乗した本人に間違いない。

 彼の名前が初めて原作に出てきたのは要塞対要塞だったはず。査問会から帰還するヤンの護衛に准将として六五〇隻を率いて参加していた。中央の部隊ではなく地方警備を行っていて、一応の火力と装甲を有していたというのだから、どこかの星域所属の警備艦隊司令あたりだったのだろう。その後も同盟軍の惨憺たる状況下にあって、部隊を率い奮闘していた。

「警戒するのは分かるが、ここはまだ味方の領域だ。あまり神経質になると、部下の神経が焼き切れることになるぞ」
「なるほど。そういうものですか」

 支配圏が完全に確立していない領域において、敵味方識別信号を確認できない哨戒隊規模の跳躍反応を発見したら即応態勢をとる。自分でも過剰反応ではあると思うが、部下に対して初っ端から手を抜いていいとは言えないし、正しいか間違っているは別としてマリネッティも新入りに対する親切のつもりで言ってくれているのも分かる。

「まぁ無理はしないようやっていくつもりです」
「そうした方が良い。指揮官も兵士も休めるうちに休んでおかねば、いざという時に判断を誤る原因になる」
「ご指導、ありがとうございます。ところで前線の状況はいかがです?」

 見込みでミスをするよりは取り越し苦労の方がいいとは思うが、信頼関係が構築されてるわけでもない相手に正論パンチを繰り出すのも意味はないと思い話を転換すると、マリネッティは丸い顎に手を当てつつ太い眉を寄せながら小さく首を振った。

「ぐちゃぐちゃだな。どうやら第八艦隊が奪ったカプチェランカを再奪回しようと帝国軍も気合を入れているみたいで、哨戒ラインも大きく前後に変動している」
「カプチェランカ近域のパトロールは第一辺境星域管区の領分ですが、第三辺境星域管区(こちら)にも流れてきますか?」
「余程脇腹を刺されるのが嫌のようで、打撃戦隊は確認されないがかなりの数の哨戒隊がパランティア星域から向こう側で分散展開している。今回俺の隊は触接五回、戦闘二回で、三隻喰われた。中破は三、損傷八」
 
 周辺視野でレーダー画面を確認すると、第一二九九哨戒隊の残存艦艇数は三〇隻。約一割を一度の行程で失ったことになる。結果だけを単純に見れば、かなり激しめの戦闘
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