第一章
[2]次話
前髪で額を隠す理由
渡辺唯は黒髪をロングにしていて前髪をいつも垂らしている、楚々とした顔立ちで色白である。背は一五〇位で小さめだが形のいい胸と腰を持っている。
通っている高校では可愛い外見だと男女から言われている、だが。
「あんたいつも前髪垂らしてるわね」
「ああ、これね」
友人の芦野夏織、明るい感じの目の大きな顔で黒髪を長く伸ばした一五五位の背で程よいスタイルのクラスメイトに言われて応えた。
「隠してるのよ」
「額に目があるとか」
「私の目は二つだから」
唯はそこは断った。
「違うわよ」
「三つ目人じゃないのね」
「写楽さんじゃないから」
そうだというのだ。
「もっと言えば傷もないから」
「そうなのね」
「痣もシミもないから」
このことも話した。
「別にね」
「じゃあ何もないじゃない」
夏織はここまで聞いてこう判断した。
「別に」
「そう思うでしょ」
「それが何かあるの」
「広いのよ」
唯は夏織に憮然として話した、クラスで自分の席に座って前の席に来た夏織とチェスをしつつ話している。二人は高校では同じ歌留多部に所属していてそこではボードゲームも活動範囲に入っていて練習しているのだ。
「ああ、額が」
「そう」
夏織にナイトの駒を動かしつつ憮然と答えた、唯は白で夏織は黒だ。
「これがね」
「つまり禿げってことね」
「そうよ、お母さんの遺伝でね」
「そういうことね」
「だから子供の頃から」
その時からというのだ。
「気を付けているのよ」
「前髪下ろしてるのね」
「そうしてね」
そのうえでというのだ。
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