暁 〜小説投稿サイト〜
拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第3章 高校3年生
わかば園と両親の死の真相 @
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で、今年の冬休みはわたし、久しぶりに〈わかば園〉へ帰ることにしました。そして二週間、そこで過ごそうと思います。
冬休みまではじっくり物語のプロットを練って、冬休みにわたし自身や両親のことを取材して、本格的に書き始めるのはその後になるけど、多分ジャンルとしてはノンフィクションに近くなるんじゃないかな。日常の些細な出来事や、高校へ進学できるって分かった時のことを書くつもりです。もしかしたら、おじさまも登場するかも? お楽しみに。
今度の小説は絶対に書き上げて、出版までこぎつけるつもりです。多分、わたしにしか書けない作品だと思うから。
わたし、気持ちの切り替えが早くなったでしょ? もう小さなことでウジウジ悩む、ネガティブなわたしじゃないから。さやかちゃんや珠莉ちゃん、純也さんに出会えたからこうなれたんだと思います。〈わかば園〉に帰ろうと思えるようになったのも、ポジティブなわたしになれたから。
そしてそれは、全部あなたのおかげです。ホントにありがとう。ではまた。 かしこ
九月二十五日 愛美』
****
「――愛美さん、こちらは叔父さまに報告終わったわよ」
書き終えた手紙を折り畳んで封筒に入れていると、珠莉がスマホをかかげて愛美に報告してくれた。
「ありがと、珠莉ちゃん。『しばらくそっとしておいて』っていうのも書いてくれた?」
「ええ、バッチリよ」
珠莉の返事を聞いて、愛美も表書きと差出人の名前を書き終えた封筒に切手を貼り付けた。
* * * *
――その手紙を投函してから約二ヶ月が過ぎ、すっかり秋も深まった。
その間に愛美・さやか・珠莉は高校生活最後の大きなイベント――体育祭や文化祭を終え、珠莉は茶道部を引退した。愛美は文芸部の部長として部誌の編集長も務め、一部百五十円で販売。なんと二千部を売り上げた。
愛美が「しばらくそっとしておいてほしい」と伝えていたため、純也さんからメッセージが来ても彼女がボツを食らったことについては触れないでいてくれた。そしてあしながおじさん≠ゥらの慰めの手紙も来なかった。
(……まぁ、おじさまから手紙が来ないのはいつものことだし)
そんな中で愛美の初刊行作品となる短編集・『令和日本のジュディ・アボットより』の文庫本が無事発売され、初版の五千部はあっという間に完売。すぐに重版されたらしく、岡部さんもすごく喜んでいた。
そんな頃、学校から寮へ帰る途中の愛美のスマホに純也さんから電話がかかってきた。
「電話なんて珍しいな……。もしもし、純也さん?」
『もしもし、俺。純也だけど』
彼の第一声を聞いた愛美は、なんかオレオレ詐欺≠ンたいだなと思って笑ってしまった。
「うん、知って
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