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拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第3章 高校3年生
わかば園と両親の死の真相 @
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長が選考委員長でもあるからだ。
「あ、愛美。おかえり。――どうした? なんかちょっと元気ないじゃん?」
「うん……。さやかちゃん、鋭い。ちょっとね、ヘコんじゃう出来事があって」
「もう友だちになって三年目だよ? 元気がないのは見りゃ分かるって。今日は編集者さんと会ってたんだっけ。じゃあ、作家の仕事絡み?」
「正解。詳しい話は珠莉ちゃんが帰ってきてからするけど、長編の原稿がボツ食らっちゃってね」
「えっ、ボツ!? 長編ってあれでしょ、冬からずっと頑張って書いてて、夏休みの間に書き上げたっていう、純也さんが主人公のモデルだった」
「うん、そうなの。あれ」
さやかがズバリ、どんな作品だったか言い当てて愛美も頷いたけれど、さすがに純也さんが主人公のモデルだったという情報まで言う必要はあっただろうか?
「う〜ん、そっかぁ……。珠莉、部活は五時までだったと思うから。帰ってきたら一緒に話聞いてもらおう。珠莉の方が、あの小説のどこがダメだったか分かると思うんだ」
「そうだね。わたしもそう思ってた」
一応は社長の娘だけれど庶民的なさやかより、生まれながら名家のお嬢さまである珠莉の方が、ダメ出しのポイントが適格だと思う。何せ、モデルは彼女の血の繋がった叔父なのだから。
それから三十分ほどして、部活を終えた珠莉が部屋に帰ってきた。
「――ただいま戻りました」
「珠莉ちゃん、おかえり。部活お疲れさま」
「珠莉、おかえりー。何かさあ、愛美が聞いてほしい話があるんだって」
珠莉がクローゼットにスクールバッグをしまうのを待ってから、二人は彼女に声をかけた。
彼女は最近、週末は雑誌の撮影で忙しいけれど、平日の放課後はまだ部活があるので撮影は入っていないらしい。こちらも学業優先なのだ。
「――愛美さん、私に聞いてほしい話ってなぁに?」
「えっと、わたしが冬休みから長編小説を書いてたこと、珠莉ちゃんも知ってるよね? ……純也さんが主人公のモデルの」
「ええ、知ってるわよ。夏休みの間に書き上がって、編集者さんにデータを送ったらしいってさやかさんから聞いたけど。あれがどうかして?」
「実はね、あの小説、ボツになっちゃったの。今日、編集者さんから『あれは出版されないことになった』って聞いて。でね、どういうところがダメだったのか、珠莉ちゃんに読んで指摘してもらえたらな、って思ったんだけど……」
珠莉はプロの編集者ではないので、どういうところが出版向きではなかったのかまでは分からないと思うけれど、本物のセレブの視点から「これは違う」というようなポイントなら気づいてもらえるはずだ。
「ええ、いいわよ。私でよければ。とりあえず着替えさせてもらうわね。それからでもいい
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